島嶼看護

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VIII  31st APNLCに参加して

沖縄県立看護大学大学院 博士後期課程 1年
島嶼保健看護 知念久美子

 私は今回初めて海外で行われている学会(サイパンで行われた第31回American Pacific Nursing Leaders Council Conference)に参加しました。その学会に参加して、言葉の壁を感じながらも沖縄や日本と異なる文化に触れることができました。第31回という歴史のあるこの学会は、日本で行われているフォーマルな学会とは異なり、参加者がリラックスし、落ち着いた会場の中で行われていました。また、参加者の中には、島の診療所を閉めて学会に参加している方や公的な資金で地区を代表して参加している方などがいました。その話を聞いて、この学会が意義のある学会であることがわかりました。
 学会初日は、学会に参加している10の島嶼地区の報告がありました。その報告の内容は、それぞれの島嶼地域の保健看護の現状(フィリピン人の看護労働者の割合やナーシングリーダーの育成、テレナーシングの活用など)や問題点(新型インフルエンザの感染予防対策や対応、看護教育の在り方、ジェネラリストの育成など)などでした。参加している島嶼地区の現状はほとんど似ていると印象を受けました。
 学会2・3日目は、学会の発表を遠隔システムでロタの大学と中継し、ロタから遠隔で3名の参加者が学会に参加していました。毎回学会で遠隔システムが使用されているのかは、確認できませんでした。しかし、交通が不便な島嶼地区での遠隔システムは教育や会議などの有効な手段であり、より活用されることが望まれる点だと感じました。また、学会では「ヘルスケアと看護教育プログラムの質の影響」や「栄養と乳児や幼児の摂食」、「受容の低下と自殺のリスク」など幅広い分野のトピックがあがっていました。その発表内容は実際のケースや島嶼地区の住民が出演しているビデオでわかりやすい内容になっていました。(離乳食の事例でマンゴやアボガドが例に挙がっていた点は、南国ならではの特徴を感じました。)
 学会4日目のCultural Nightでは、参加者のほとんどが島嶼地域ごとの民族衣装や揃いの衣装で、伝統芸能や演劇などを披露していました。学会だけでなく、このような交流会を行うことで同じ空間・時間を共有し文化を知ることで島嶼地区同士の強いつながりができると感じました。このような強いつながりが31回という歴史のある学会にまで継続できる要素であると感じました。そして、既存のデータや資料だけでなく実際にその島嶼地区の人と交流することが大切であると実感しました。
 今回、第31回American Pacific Nursing Leaders Council Conferenceに参加して、参加している島嶼地区の現状や様々な歴史・文化・民族が混在していると分かりました。また、太平洋の島嶼地区ではフィリピン人の看護師が多く働いている現状を知り、島嶼地区の住民だけでなく看護職種に携わる者の人種や民族、文化も多国籍であるため、異文化の理解は看護に役立つ視点である事を学びました。そして、島嶼保健看護では人との交流が重要で、相手を理解しその背景にある歴史や文化の理解が欠かせないと実感しました。

 

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