海外研修セミナー−ハワイ2011−報告書

            目次

 

 

あいさつ

 

T 海外研修セミナー ハワイの概要    

 

U 海外研修セミナー ハワイ実施報告

 

                     

 

                     

 

 

V 海外研修セミナー ハワイ運営報告   

 

編集後記

 

 

U 海外研修セミナー ハワイ実施報告

1.KCC研修報告

1)Conversational English

具志堅さき 

Conversational Englishは@〜E回にわたって日常会話やピジン英語(ハワイの先住民の言葉)からハワイの地名や音楽、ハワイの医療事情についてなど幅広く学ぶことができた。  

Conversational Englishを教えてくださったEric先生は長年日本で英語の教員をしてた経験があることから、私たちがわかりやすいような説明やみんなが発言できるように授業のスタイルを工夫したりととてもわかりやすく楽しい授業だった。

 第一回目の授業ではハワイクイズでハワイ語やハワイの州花・魚、星条旗の由来などハワイについてクイズ形式でひとりひとり回答していくスタイルの授業で、緊張もとけ楽しみながら自然に発言することができた。英語での自己紹介から始まり、あらかじめ用紙に名前、出身地、家族のことなど紹介することを書いていたのだが、私たちはずっと紙を見ながら話してしまうことが多かった。Eric先生から紙ばかりをみるのではなく相手の目を見ると教わり、英語が話せないからと恥ずかしがらずに積極的に自分の意見を伝えようすることが重要だと感じた。また、私たちは「How are you?」と聞かれれば「I'm fine thank you」と答えるものだという固定観念があり、今まで意識せずにマニュアル的に答えてしまっていたが、先生から会話に正解はなく何を答えても良いこと、文法の正しさを気にせず短くカジュアルに話せば良いと指導を受け、楽しみながら英語を使うことができるようになった。実際に3回目の授業ではInternational Classの学生と話をする機会があり、文章になっていなくても単語をつなげたり、ジェスチャーや紙に書いたり工夫することで伝わることを体験することができ、自信につながった。このクラスの学生も英語の勉強を始めて半年など短期間で、私たちが学んできた年数の方が長いのにも関わらず会話力に大きな差を感じ、日本の英語教育の特徴や今までの自分の勉強法について振り返ることにもつながった。他にもホームステイの前には「〜してもよいか?」などの質問の仕方など日常的に使う言葉を学生同士ペアで実践的に会話を練習していたため、安心してホームステイに臨むことができた。また、Eric先生はきれいな英語を話すためわからなかったが、International Classの学生との会話や通学で利用していたカウアイバスの中で地元の方々と会話してみて、話すスピードや言葉の聞き取りにくさなど沖縄の方言のように英語になまりがあることを体験することができたのも勉強になった。ハワイには日系の人が多く、スーパーにも日本語で書かれた商品や日本食レストランなどがあり、日常生活で不自由することはなかったが、日本語が通じることは少なく、授業をはじめほとんど英語づけの毎日だった。そのおかげで会話や英語がわからなくても話そう、自分から話しかけてみようと思う度胸や積極性が身についたと思う。

 後半の授業ではEric先生の実体験を踏まえたアメリカの医療事情やカウアイ島の病院についてなど英会話の他にもたくさんのことを学んだ授業だった。

2)Mahelona Hospital

入南風野 愛里

Mahelona Hospitalは、カウアイ島で最も古い病院である。この病院は、もともと結核患者専用に建設された。また病院の名はサムエルマハロナというWILCOX 家の青年の名がつけられている。

 現在、病院は長期療養のためのベッドが66床あり、精神科や救急救命室、その他ソーシャルサービス、作業療法、理学療法、言語療法等の機能がある。看護師の話では、ERには一日20人の患者が訪れ、風邪が重症化した患者が多いとの事だった。

 この病院は、高台に位置しているために病室やその他各部屋から海や山が見え、とてもきれいな病院であった。大きな窓から光が差し込む明るい病院であり、病院の入り口や病院の至る所においてある日本の置物や装飾品は心地よかった。病棟の壁にある様々な掲示物が全体的に明るい雰囲気をつくっている。

また、看護師の服装は日本のような白のユニフォームで統一されておらず、看護師はカラフルな服装であったため威圧感がなかった。病室を覗くと、患者さんによって部屋の様子が異なっていた。病室をできるだけ患者の住み慣れた環境に近づけるために、棚や椅子などを個人でもちこめるようになっていた。病院のある部屋の壁に患者さんの写真が多く掲示されていた。その写真についてスタッフに尋ねると、今年で創立50年になる病院の祝いと患者さんの結婚式を同時に行なったというエピソードを聞かせてくれた。

 Mahalona hospitalの作業療法室を見学させていただいた時には、学生が温熱療法を体験する事ができた。温熱療法は、溶かしたロウの中に手を入れて固めるといったものであった。ロウで固める事で手を温め、関節痛などに効果があるとの事だった。その他、理学療法室では日本と同じようなリハビリテーションに使う器具が多く置いてあった。

 今回の病院の視察を通して、日本の病院と共通する所やMahalona hospitalの特徴・良さ等、学生それぞれが感じる事ができた。このような経験ができた事を本当に感謝します。ありがとうございました。

 

3)Mahelona Hospital Day Care Recreation Activity

                                       入南風野 愛里

今回、マヘロナホスピタル視察後、病院で年に2度行なわれる海水浴に参加させていただく事になった。マヘロナホスピタルでは、治療の一環として患者を海水浴につれていくとの事だった。

 参加した患者のほとんどは高齢者で、車いすを使用していた。患者は海へバスで向かった。また、患者の使用する多くの車いすはバスとは別の車両の荷台に乗せ海へ運んでいた。患者が海水浴をする前に、スタッフが処置用手袋を装着し海に入る患者に対し着替えの手伝い、日焼け止め塗布をしていた。患者の準備が済んだ後、患者を砂浜の上でも使用できる専用の車いすに移乗させ波打ち際まで移動した。波打ち際まで来た後は、今度は海専用のいすに患者を移動させた。私の担当した患者は、初めは海には入りたくないと拒否していた。水に入った後はさらに拒否していたが、しばらくすると患者から楽しいという発言があった。その一方で、他の患者の中には頑なに海に入る事を拒む人もいた。スタッフは、患者をまず海に入れ反応を見ながら、海からあげるなどそれぞれ対応していた。またこの海水浴では、多くのボランティアによるサポートがあって成り立っているとの事であった。まず、患者の身の回りの世話をする病院スタッフや患者・家族に私たち学生、その他消防士は患者が安全に海水浴ができるよう移乗への手伝いや監視をしていた。

 患者をシャワーに入れ着替えを済ませた後、昼食をとった。この日の昼食は、ハンバーガー、豆料理、マカロニサラダ、シーザーサラダなどであった。昼食の際、患者一人一人にメニューが異なるようで、患者に合わせたメニューが載った小さな名刺サイズの紙を渡された。私の担当していた患者の場合、糖尿病食と指示がされていた。しかし、その料理をとりにいくと、ハンバーガーや豆料理など他の患者と変わらないメニューであったため驚いた。また、患者の食事がすんだあとスタッフが患者にドーナツやスナック菓子を渡していた。その患者の管理方法について詳しく聞く事は出来なかったため料理について疑問を感じた。しかし、多くの患者が食事を楽しんでいた事や、年に2度しかない海での楽しみとしてとらえると患者にとって良かったのではないかと感じた。私の担当する患者の他に、嚥下機能が低下している患者がいたが、料理内容が配慮されていないようで上手く食事が出来ていなかった。このように料理に関しては、学生からも多くの疑問があがり食について考えさせる経験となった。食事後は、スタッフが患者と共に歌を歌ったり、ダンスを披露していた。患者が笑顔で楽しそうな表情をしていた。

 このようなビーチでの体験は、多くの患者を海水浴させるスケールの広さとその意味、患者の食について考えさせられるいい経験となった。また、私の個人的な経験として言葉がうまく話す事ができなくとも、楽しく患者と過ごす事、会話が出来る事(ノンバーバルコミュニケーション)を経験した。海外でも日本でも言葉が通じなくても、心が通い合う事を改めて感じた。

 

4)LomiLomi Massage

具志堅さき

 「Lomi Lomi(ロミロミ)」とはマッサージという意味で揉む、圧迫、すり込むなどの動作が含まれている。また、食べ物ではサラダなど和え物を混ぜ合わせることもロミロミという。

 ロミロミマッサージは衣服を脱いだ状態でベッドに横になり、オイルを用いて頭や首から四肢、体幹を左右順序良く体全体をマッサージしていく。使われるオイルにはいろんな種類があるが、オイルには傷を治し皮膚を保護する効果があり、昔からマッサージオイルとしてハワイで使われていた。今回使用したオイルは ククイ()の種油、マカダミアの油など様々な植物のオイルがブレンドされており、気持ちを落ち着かせる、皮膚に湿気・潤いを与える(モイスチャー)効果がある。ククイオイルは低刺激性で肌トラブルをおこさず、ラベンダー、シナモン、ローズマリーのエッセンシャルオイルが含まれているため、甘い匂いでリラックス効果があることを教わった。

 2日間にわたってBerna先生の指導のもとロミロミマッサージを学生同士でペアを組み実際に体験した。ポイントとしてはマッサージするのは筋肉のみで絶対に骨を圧迫しないこと、指だけではなく腕全体を使って揉むことと教わったが、実際にやってみて腕の力だけではなく体も一緒に動かしながら力を入れる必要があり、同一姿勢を保たないといけないため、短時間でも腰が痛くなってしまった。マッサージの際にはボディメカニクスを意識し、体重移動を工夫することでマッサージする側の体にも負担なく筋肉に均等に力をかけることができることが分かった。また、マッサージは先端部から体の中心部に向かって筋肉を押し上げるようにしてから先端に下がってくるようにし「抹消から中枢へ」という清拭などの血液循環を考慮した原理と同じものもあり、実際にマッサージを受ける側も体験した際には、マッサージを受けている部分とそうでない部分の温度差をはっきり感じることができ、血流を良くする効果があることを実感することができた。はじめはベタベタ感じたオイルもだんだんと皮膚に馴染んでくるのが分かり、オイルの甘い匂いで心地よく感じた。同じ力でマッサージをしても人によって気持ち良かったり、痛かったり、くすぐったく感じるなどひとりひとり皮膚の感覚が違うため、常に相手に確認しながら行うことが重要であることも教わった。オイルは学生ひとりひとり専用の容器に入れて貰えたため、日本に戻ってからも学んだ技法を復習し、友人や家族に実践していきたいと思う。

 ロミロミマッサージをするのは誰でも良いわけではなく資格が必要であり、数年間の研修を受けなければならない。病院にはロミロミマッサージを行う専属のセラピストを雇っている場合が多く、患者の要望によって(リラクゼーション目的や特定の痛み(腰、肩など)がある場合に行われる。病院だけではなくハワイではいろいろな場所にロミロミマッサージが受けられる施設があり、個人でお金を払ってマッサージしてもらうことが一般的であることを知り、昔から生活と密着しているからこそ、医療行為とは違うが病院内でも受けられるというハワイの地域性を取り入れた医療環境を理解するこができた。

 

5)KCC Wellness Center

金城 美華

KCCウェルネスセンターは、KCCの学生やスタッフの健康を維持・増進するための施設でありながら、KCCの学生や教職員のみでなく、14歳以上であれば、地域の住民なども利用できる施設である。

保険を持っている利用者は、保険を適用させて、無保険者の利用者は、無料で受診することができる。医師ではなく、ナースプラクティショナー(診療・処方のできる看護師)が働いている。施設内には、カウンセリングルームやヒーリングタッチ、レイキの部屋、処置室、検査室などがあり、施設内で血液検査や尿検査が行えるようになっていたり、受付やトイレなどに健康や病気に関するポスターやパンフレットがあったり、子ども連れでも安心して診察などが受けられるように、子どもが遊べるように設けられた部屋もあった。

KCCウェルネスセンターの利用者は、Family Planningの診療では年間300人ほど訪れるということも知ることができた。また、インフルエンザの予防接種や看護学生対象のツベルクリン検査もこの施設で行えるということである。

 センター見学後、Ono先生からFamily Planningについてと、ヒーリングタッチについて学んだ。Family Planningでは、法律で性交可能な年齢が決まっていることや、性教育は13歳以下には行ってはならないということがあるということを聞いた。また、カウアイ島がハワイの中で、性感染症が最も多く、10代の妊娠出産の現状があるということも聞き、避妊法について実際のピルや避妊具を手にし、具体的な使用方法や効果などを模型を用いて説明してもらった。また、コンドームを受付やトイレなどで無料配布しているところが、日本とは全く異なっているところであった。

 Family Planningの説明のあと、ヒーリングタッチを実践した。2人1組になり、直接相手の体に触れるのではなく、手で相手のエネルギーを感じ取り、温度などが偏っている部分があれば、気を混ぜ、一定の流れにし、エネルギーの流れを整えるという方法である。Ono先生の話によると、ヒーリングタッチによって、患者の状態が安定することもあるという話を聞いた。また、痛みを感じる部分に片手を当て、もう片方の手を下にかざすと、痛みを下に降ろすことができるということや、逆に一方の手を上にかざすと大地からのエネルギーをもらうということを、実際にKCCウェルネスセンターでは行っているということを知ることができた。

 

6)Home Stay

金城 美華

ホームステイは、学生21組で、6家族が受け入れていただいた。23日という短期間で、カウアイの豊富な自然の観光やショッピング、Kauai County Fairへの参加、ハワイの料理をいただいたり、学生が日本料理をつくってふるまうなど、それぞれが貴重な体験をした。

ホストファミリーと交流しての学びは、各家庭や行った活動などによって様々だが、食生活の面で“フルーツは豊富だが、野菜が少ない”ことが共通して挙げられた。私のホストファミリーの話によると、「カウアイ島(ハワイ)では、サラダは夜しか食べない」とのことで、肥満などの健康問題について、考えるきっかけとなった。また、ホストの方々には日系の何世という方や、フィリピン系の方などがいて、日本的な部分や、アメリカ的な部分、日本的でもアメリカ的でもないHawaii的な部分など、様々な言語や文化などがミックスされているということも生活の中で感じることができた。

ホストファミリーとのコミュニケーションについては、Eric先生のConversational Englishの講義で、ホームステイに必要な日常英会話や、使い回せる文章など、ポイントを絞って学んでいたことや、数組の家庭では日系の方もいて、片言の日本語と英語をうまく併用しながらだったので、困ることはなかった。また、Eric先生が「難しい単語や文法などを気にせずにどんどん話す事が大切!」とアドバイスがあったため、分かる単語で話すことや、ホストファミリーの使っている言葉の言い回しを真似ながら話すことで、英会話能力も使うことで上達するということを学んだ。

この2泊3日のホームステイでの貴重な体験は、私たちにとって、ハワイの生活や文化を知り、それについて考える機会になっただけでなく、自らの英会話力をさらに向上させたいという気持ちを高めるきっかけにもなった。

 

7)Microbiologyオリエンテーション & Lab

幸地 伊都子

 この講義では、まずMicrobiologyが何であるか、という問いかけから始まり、MicroSmallであり、BiologyStudy of Lifeである、と担当のブライアン先生から説明がありました。その後、Microbiologyはどこにあるのか、そしてどこにないのか、Microbiologyの種類についてブライアン先生の方から学生に問いかけが行われました。Microbiologyの種類にはBacteriaVirusProtistaFungiWorm(PinwormHookwormetc.)があり、Microbiologyではこれら全てが学習の対象となります。

 なぜ看護職者がMicrobiologyを学ぶ必要があるかというと、Microbiologyと病気の間には密接な関係があるためです。そして、上述した対象の中でも、特に看護職者にとって大切な分野はBacteriaVirusの2つになります。そのため、今回の講義では学生の知っているBacteria名を挙げることで“Bad”Bacteria“Good”Bacteriaにbacteriaを分割し、挙がったBacteriaについてブライアン先生の説明を受けました。この説明の中で、抗生物質を服用することで私たちの体に必要なBacteriaが死んでしまうことがあり、そうした抗生物質の副作用を防ぐために食事で摂取する方法があるということなどを知ることができました。

 Bacteriaについて、一通り講義が終了すると、学生は各々好きなところから菌を採取してくるように指示されました。OPCNでは3年次の前期に成人保健看護学の講義で手洗い後の手指の菌の培養を行う機会がありますが、今回のブライアン先生の講義では手指に限らず、口唇やスリッパの裏、髪の毛、シュシュ、白衣の首周り、腕時計の内側と外側、携帯電話、トイレのレバーやハイビスカスの花、人の出入りの多いドアのノブ、お札など、実に様々なものを対象にして培養検査を行うことができました(培養検査の結果は2日後のMicrobiology Laboratoryにて観察できたので、詳細はその講義の報告書にて記載します)。

 この講義を通して、看護職につくからにはMicrobiologyの知識もしっかり持つ必要があるということを実感しました。

 ブライアン先生の講義では、とにかく学生の積極的な発言が求められます。発言は勿論英語で求められますので、講義前に英会話の講義で使用している教室に荷物を置くよう指示される際に、電子辞書を一緒に置き忘れないよう注意が必要です。また、学生が知っているBacteria名を挙げ、そのBacteriaの作用を考えていくという講義では、学生がBacteriaの知識をあまり持っておらず、発言が滞りがちだったため、あらかじめBacteriaについて事前学習をしていくとブライアン先生にもっと詳しい説明をしてもらえることができて良いのではないかと思いました。

 

8)Hula & Hawaiian weaving

森田 彩

 このクラスでは、笑顔の素敵なIpo先生がHulaとハワイの編み物の作り方を教えてくれた。踊りを教わる前にHulaについて話してくれ、昔のHulaは笑顔がなく男性だけが踊るものだったという。しかし現在は笑顔で踊るHulaが主流であり、振付を間違えた時も上手く踊れない時もいつでも笑顔を持ち続けることが大切で‘Smile covered everything’と先生も言っており、笑顔はかかせないものとなっているという。またHulaは物語を語る踊りであり、歌詞に沿って振付が決まるので教える先生によって同じ曲であっても踊り方が異なってくると言っていたので、踊りには意味があり物語を語るなんてすごく素敵だなと感じた。

私たちは「HANAREI MOON」という曲のHulaを教えてもらい、初めにお手本としてIpo先生のHulaを見せてもらった。その後、歌詞に沿って一つ一つ振付を習い一通り習い、実際に曲に合わせて練習をした。振り付けは物語があったことに加え簡単な動きであったので覚えやすかったけれど、実際に踊ってみると足のリズムと手のリズムが混ざって難しく、必死についていこうとして笑顔も忘れがちで意外と難しいことがわかった。しかしIpo先生が「スマーイル!」と言って誘導してくれたり、踊り終わった後は観客の真似をして盛り上げてくれたのですごく楽しくHulaを学ぶことができた。また、踊っている時の目線は常に手を目で追いかけるような感じだと言っており、話を聞いた後にIpo先生が踊るHulaを見ると、先生は常に笑顔で物語を表している手を見つめていたので、まるで目の前で物語が広がっているような気持ちになり、目が離せられないくらい惹きつけられたので、Hulaという踊りは奥が深い伝統芸能なんだなと感じた。

次に、ハワイの伝統工芸の一つであるラウハラでブレスレットを作成した。ラウとはハワイ語で葉を意味し、乾燥させたハラという植物の茶色く細長い葉を編んで作るのでラウハラという。また、ハラは沖縄にもある植物でアダンと呼ばれており沖縄でも編むことができる。乾燥した葉を一定の幅にカットして人数分用意してくれ、編み始める前に手早くブレスレットの作り方を最初から最後まで編んで教えてくれた。最初に自分の手首に葉を巻いてブレスレットのサイズを決め、何重にも巻いて基礎を作り、それからデザインとして編み始めた。葉は乾燥しているのでウェットティッシュで湿らせながら編み進めていき、細かな作業で難しかったが、葉の色が微妙に異なりそれぞれの性格が表れている世界に一つしかない手作りブレスレットになり、とても良い思い出ができた。また、HulaWeavingも皆で楽しみながら行ったのであっという間に時間が過ぎていき、笑顔が絶えないクラスだった。

 

9)Kauai Veterans Memorial Hospital

山城 暁子

 Kauai Veterans Memorial HospitalKVMH)はカウアイ島西部にある州立の病院である。Veteransとは退役軍人と言う意味であり、退役兵のために作られた病院であるが、現在では一般の方も利用している。

 KVMHにあるERには毎月600人ものの患者が搬送される。しかし、無保険者の場合は医療費が高くて払えないため、入院期間は短く、早く退院させて外来受診になってもお金が無くて通院できずに悪化するまで待つということの繰り返しになっているそうだ。入院期間が短いのは産婦人科にも言えることで、出産後の入院は2日、帝王切開なら最高4日である。日本では生まれて数日の赤ちゃんへの面会は人数や家族のみなどの制限があるが病院を訪れた日には生まれて4時間後の赤ちゃんに合うことができ、ここでも日本との制度の違いを感じた。

 一番驚いたのは、産婦人科にある入院用のベッドがお産のベッドに変化するところだ。日本にも同じベッドがあるらしいが、今まで見た事がなかった。部屋も木でできており、家庭的で温かい落ち着く雰囲気が漂っていた。しかし、クローゼットの中にはいつお産が始まってもいいように設備が整っており、安心してお産に挑めるであろうという印象を受けた。

 ICUには4つのベッドがあり、ガラスで仕切られていて中央にあるメインモニターで患者の状態をチェックしている。ガラス張りであるため、トイレも見えていることが日本とは違っていて驚いた。

 日本にはなかなか無いのではないかと感じたのは、無呼吸症候群の検査をする部屋があるということである。そこにはフカフカのベッドと静かな環境が整っていた。来年からは腕時計式の検査器具が導入され、自宅での普段通りの環境で計測し、データを病院に持ってきて、判断できるようになると言っていた。

 病院見学では、アメリカと日本の違いを実感しながら施設を見学することができた。これからの実習などで、さらに日本との比較をしながら勉強に活かしていきたいと感じた。

 

 10Lunch with KCC Nursing Faculty Student

                              安富 妃菜子

 KCCの生徒と一緒にランチをしながら交流した。食事はバイキング形式でハワイアンフード、メキシカン料理、中華料理など様々な国の料理が準備されており、多くの人種が住んでいるハワイならではと感じた。また、交流会の前に学生が歌やフラダンスを披露してくれて、ハワイの文化を実際に見ることができ貴重な体験となった。その後、KCCの学生と看護大学の学生で6人程度のグループを作り、英語で色々な話しをした。内容としては、趣味などの個人的な話しや、お互いが受けている授業、看護学生の特徴などについての情報交換を行い、その中で日本とハワイの違いを知ることができた。例えば、ハワイでは人形を用いた注射のテストに合格すると、学生同士で注射の練習をすることができるとのことだった。日本ではそれは出来ないと伝えると、「働くまで練習しないのは怖い」と驚いていた。また、KCCの看護学生の平均年齢は28歳と高いことに、逆に私たちは驚いた。ハワイでは高校を卒業してすぐに看護師を目指す人は少なく、一度大学で他の分野を学習した後、あるいは就職、結婚後に看護の道に進む人が多いとのことだった。KCCの看護のプログラムは2年間であるため、授業が凝縮されて大変だが、本当にやりたい人が通っているため、生徒が積極的な姿勢で学んでいるとのことだった。

 この交流会では情報交換に加えて、ハワイセミナーの目標の一つである「英会話におけるコミュニケーション力向上」を達成するための良い機会ともなった。また学生達は、言葉だけではなく、ジェスチャーを交えながら伝えたいことを表現している様子も見られ、会話も弾み、上手くコミュニケーションを取ることが出来ていた。一緒に写真を取ったり、笑い声が聞かれたりして、終始楽しい交流会となった。

 

11Physical Assessment

森田 彩

このクラスは2回ありました。1日目は‘Twelve Cranial Nerves (脳神経)’についてCherie先生と一緒に学習しました。初めに12の脳神経の特徴や正常に働いているかどうかの検査方法を、資料と実演を用いて教えてくれ、次に21組になってT〜Ⅻの各検査の練習を行いました。例えば、T(嗅神経)は目隠しして何の臭いか当ててもらい、U(視神経)は視力検査を行い、Z(顔面神経)は塩や砂糖をつけた綿棒を舌につけて何の味かを当て、頬を膨らませたり笑ったりして顔で表現できるかといったことです。検査方法は日本と変わらないということを知りました。練習の後は7組中2組がT〜Ⅻまで検査のデモストレーションを行い、最後に1組ずつ目隠しをして脳神経クイズを行いました。答える側の1組が目隠しをして、残りの6組が1問ずつ「Cranial Nerves [!」といったら10秒以内に「hearing & balance!」と答えるクイズで、一番多く正解した組に賞品をくれるといった内容でした。脳神経の特徴や検査方法をとても楽しくわかりやすく身体で覚えることができた授業であり、脳神経が悪くなると身体にどのような変化を起こすのかといった脳神経と患者のつながりを考えていくことが今後の私たちの課題だと思いました。

 2日目は、Ono先生と久木本先生のクラスでした。初めにKCCの看護学生が実際に使っている人形を見学しました。正常・異常時の心音や肺音、腹音を聴くことができ、鼡径部や橈骨動脈から脈を図ることもできる人形で、別室で先生が人形をコントロールをして、人形が咳をしたり急変して酸素を与えたら落ち着いてきたので、とても実践向きな演習ができるなと思いました。次にKCCの看護学生がシュミレーションをしているところをテレビモニターで見学しました。シナリオは乳児の予防接種であり、母役1人、ナース役2人の計3人で行っていました。アレルギーがないか等の母親への問診、注射の実施、予防接種後の説明の流れであり、ここは日本と同じだなと思いました。シュミレーション後は別室モニターで見学していた学生全員で話し合いをするdeep readingに少しだけ参加すると、活発に話が飛び交っており、先生がここではまずたくさんほめ、それから出来なかったところを指摘すると言っていました。シュミレーションの演技が上手く討論も活発であったのですごいなと思いました。

残りの時間は日本とアメリカ両方の看護師免許を持つ久木本先生からの話と質疑応答の時間となり、日本とアメリカの医療に関することや清潔行動の違い、健康教育のこと、保険制度のことなどを丁寧に話してくれました。看護において気付くことは世界共通で大切であると知ることができ、もし外国で働きたいのであれば外国に行く前に日本で何年か働いてスキルを身につけてから行くべきだというアドバイスを受け、経験が英語をカバーしてくれるという話を聞いて、今学んでいる看護の考えや技術が世界に通用するのだと気付くことができ視野が広がったので貴重な話を聞くことができたクラスでした。

 

12National Tropical Botanical Gardens

山城 暁子

 National Tropical Botanical Gardensは国立植物園で、植物の研究や公共の教育、植物種の保護を目的に建てられており、台風などの自然災害が起きた時のために、国内5カ所に同じような施設が建てられている。ここには、様々な種類の熱帯植物があり、中には沖縄の植物も保護されていて、私達が見た事のある植物もたくさんあった。

 最初に訪れたBotanical Research Centerでは世界各地で採取された植物が保管されており、薬の開発などにも活用されているということだ。他には植物に関する文献や押し花があり、文献の中には60007000年前のものもあり、ガラス張りの空調設備の整った部屋で保管されていた。この施設で働く人のほとんどがボランティアであり、採取された植物は丁寧に保管されていた。

 Botanical Gardensの中はYamamoto先生に案内していただいた。グアバの新芽には下痢止めの作用があるなど植物の持つ効能を解説していただきながら、スターフルーツやミラクルフルーツを食したりした。そこでもただ散策して楽しむだけではなく、植物の持つ効能が先日のMicrobiologyと繋がる内容になっており、より学びを深めることができた。

 奥に進んでいくと、人工的な建物で階段状の水路があり、そこで目を閉じて水の流れる音に耳を傾けると、鼓動が水の流れるリズムと同じになり、日本の『ししおどし』と同じようなリラックス効果をもたらすということを教えていただいた。

 普段は目にも止めない植物が薬として私達に効果をもたらすということを知り、植物が医療に深くかかわっているということを実感することができた。今回のBotanical Gardensの視察では、壮大な自然に触れることができて、沖縄では出来ない体験がたくさあり、実際に見たり体験したりして深まる学びが多く、とても充実した1日となった。

 

 13Farewell Paty

儀間 千佳

 2週間のKCCでの研修を終えて、KCCの研修でお世話になったスタッフやホストファミリーが集まり、KCCFarewell Patyが始まった。

パーティーが始まる前は緊張していたが、ホストファミリーに会った時は、その緊張も解けて、久々の再会を喜んだ。ホストファミリーと一緒の席に座り、私たちがホストファミリーに感謝の気持ちを書いたThank youカードとホームステイの時に一緒に撮った写真のプレゼントを渡した。その手紙を見てとても喜んでもらい、そして、ホストファミリーからは手作りのLeiをもらった。手作りのLeiをもらったときは、ホストファミリーに大切に思われているように感じ、とても嬉しかった。1時間ぐらいホストファミリーと会話をしながら食事を楽しんだ。

Eric先生の司会・進行が進められてYamamoto先生の挨拶で式が始まった。会場にいるKCCのスタッフの名前を一人ずつ紹介された。OPCNの當山先生からKCCの研修でお世話になった方々へ感謝の気持ちが述べられた。KCCの学長の方からもお祝いの言葉をいただき、そして、私たち学生の修了式が始まった。名前を呼ばれると一人一人前に行き、終了証書とKukui Nut Leiをもらった。Ono先生から「おめでとう」と言われハグをされたときは、この2週間慣れない海外での生活やKCCでの2週間の研修を頑張ってよかったと感じ、いろいろなことを思い出し、嬉しくて涙がでた。ハワイ研修へ来て良かったと思えた瞬間でもあり、とても印象に残る場面であった。また、KCCからホストファミリーが紹介され、証書の授与があった。

授与式終了後、The Sound of MusicClimb Ev’ry Mountainの歌詞が書かれた紙が配られて當山先生が会場の前にでて歌うと、ホストファミリーとKCCのスタッフも一緒になって歌っていた。私たち学生からはKauaiの方々に感謝の気持ちをこめて沖縄の歌である「てぃんさぐの花」と「島人ぬ宝」を歌った。会場からは手拍子は聞かれた。Farewell Patyのために練習したフラダンスを披露した際、緊張で時々間違えるところもあったがKCCのスタッフやホストファミリーは嬉しそうな笑顔で温かく見守ってくれた。終わった後は会場から大きな拍手をもらい、私たち学生からのプレゼントにとても喜んでもらった。

パーティー終了後はホストファミリーと写真を撮ったり、ハワイのお土産を貰ったりと別れのハグや挨拶をして、ホストファミリーの帰りを見送った。

2週間という短いKCCでの研修だったが、とても記憶に残る素晴らしいFarewell Partyを開いていただいたことにとても感謝している。

 

 

 

2.オアフ研修報告

1)The Okinawan Diaspora

新城 映乃

 講義内容は大きく分けて@琉球と沖縄の違い、A太平洋戦争前後での移民の違い、Bハワイ在住のうちなんちゅ、C沖縄から離れたうちなんちゅ、Dうちなんちゅが直面している問題についてであり、日系3世である知念ジョイス先生が講師として話をしてくれた。

 まず、講義の最初にDiasporaという言葉の意味は移民・移住とは違い、何らかの理由で離散した人々が他の居住地で作り上げた共同体という意味が強いと説明してくれた。

 時代を遡ると、沖縄に移り住んだ人はどこからきたのかハッキリとは解明できていないが、300〜645年の奈良時代にはすでに集落を作って住んでいた証拠があること、古代琉球の三山時代には、3つの王国(北山・中山・南山)が他の地域・国と盛んに貿易をしていたため様々なものや文化が混ざっていること、1429年に3つの王国が1つに統合され“首里”が中心地になったこと、1609年に現在の鹿児島県の薩摩藩に征服され“琉球”から“沖縄県”に至るまでの歴史をひと通り学んだ。沖縄県として日本の領土になってからは、沖縄の様々なものが廃止された。その一つとして方言の廃止政策では“方言札”が多く使われたが、今ではその方言札は竹富島にただ一つだけ展示されている。

 太平洋戦争前後の移住先の変化では、不足している労働者を補うため世界中に募集をかけ、世界各地からの移住先として1番多かったハワイだが、アジア系の移民が多すぎるとして1924年にアジア系の移民をアメリカから排除するという内容の法律が制定された。それからその後の移民先はハワイからメキシコやブラジルなどの南米に移っていった。この法律のせいで、ハワイに移り住んだうちなんちゅは現地の人から“日本人”と差別され、ハワイに住んでいる沖縄以外の日本人からは“沖縄人(うちなんちゅ)”として差別されるという二重の差別を受け苦しんだ。しかし、この差別・迫害に対して沖縄の方言を使わず、日本語や英語を使ったり、名字を変えることでうちなんちゅということがばれないようにし、差別されている者同士助け合うユイマール精神で乗り越えていった。

 ハワイに住むうちなんちゅは、このような厳しい状況に耐えながらも沖縄の心を大事にし、沖縄のものや文化を大切に残していった。太平洋戦争後の沖縄の悲惨な状況を知った時には、ハワイに住むうちなんちゅやその他の国に住むうちなんちゅは自分たちの生活を削って食料や衣服を送り続け、時には豚やヤギを船に乗せ世話をしながら連れてきた。

何らかの理由で沖縄から離れた後も沖縄のことを想い続け、離れた異国の地で苦しみに耐え身を削りながらも、このような貢献をしてくれた方々がいたことを、また今でも海の向こうの様々な国で沖縄を愛している方がたくさんいることを、私たちは伝えていかなければならない。

 

 

 2)St. Francis Hospiceを見学して

                         呉屋 緑香

私たちが視察をしたSt. Francis Hospiceは、一般の住宅を改装した建物で、広い庭もあり、ゆっくりとしていて穏やかな環境にある施設でした。

施設内は、もともとリビングだった場所に椅子とテーブルが置いてあり、そこで患者やその家族の方たちがお話をしたり、食事が出来るようになっていました。中庭はとても広く、時にはベッドごと運んできて患者にくつろいでもらうこともあるそうです。廊下の壁には絵が飾られており、天窓があることで日の光が差し込み、とても明るい雰囲気でした。天窓の下に椅子を持ってきて、日光浴をする患者さんもいるとのことでした。

施設内を案内して貰ったあと、看護師のIさんに話を伺うことが出来ました。私は、ホスピスケアというのは病院のような施設でしかやっていないのかと思っていましたが、高齢者の長期介護施設でベッドを借りてホスピスケアをしている所もあり、また、自分の家でホスピスケアを受けたいという人が多いそうで、St. Francis Hospiceでは家庭でのホスピスケアもやっているとのことでした。家庭でホスピスケアを受けていても、家族だけでは対応出来ない症状が出てきます。そのような場合は、一時的に施設に入院してもらったり、また家族がずっと介護するのはとても負担なので、そのような訴えがあった時にはショートステイも受け入れているとのことでした。それから、St. Francis Hospiceでは、医師や看護師、ソーシャルワーカー、ホームエイド(ヘルパー)、ボランティア、精神的なサービスをする牧師さんなど、多くの人たちが関わっていることを知りました。ホスピスケアに関連する用語に“NODA”という言葉があり、それは「1人で死ぬことはない」という意味があります。そのことから、ボランティアの方たちの存在は重要で、家族のいない患者などの話し相手になったり、最期の時まで一緒に過ごしたりしているのだそうです。

St. Francis Hospiceでは、患者が穏やかに死を迎えられるように、またその家族が良い思い出として家族の死を受け入れられるようにケアをしており、多くの人にホスピスを利用して欲しいと言っていました。しかし、ホスピスには“死”というイメージが強いために、症状が悪化してギリギリの状態になった時にホスピスを受ける人が多いそうです。それでは、良いケアを提供することができません。そのために、ホスピスケアの利点を多くの人に知ってもらい、一般の病院でホスピスケアという選択肢もあることを十分に情報提供してもらう必要があるとIさんは言いました。

 延命治療によって人は長く生きられるようになりましたが、それが本当に正しいことなのか、死を迎えることはどういうことなのかを考える良い機会になりました。

 

 3)Nursing and Healthcare in U.S.A. Today

勢理客 美沙子

 この講義は、セミナーの目的の一つである、アメリカの医療制度の理解を目標として行われた。Registered Nurseとして現場で働いていた経験を持ち、公衆衛生の修士号や、医療政治学の博士号も持つJohn Casken先生が講義を行った。

 日本とアメリカのGDPにおける医療費の割合の比較より、日本の医療費はGDP7.9%であるのに対し、アメリカの医療費はGDPのうち17.6%をも占めている。しかし、国民の健康の指標となる、乳児死亡率や平均余命は、どちらも日本の方が優れている。平均在院日数と人口1000人当たりの病床数も比較したところ、アメリカは日本よりも病床数が少なく、在院日数も短かった。その理由としては、アメリカは日本に比べて個人にかかる負担が大きいことが挙げられるとしている。日本の様に、ある行為に対する医療費が一定に定められていないこともあってアメリカの医療費はとても高く、それが長く入院して治療を受けることの妨げとなっていると考えられる。また、アメリカではほとんどの人が雇用先の保険に加入しているとのことであったが、個人での保険加入はとても高額で、無保険者は5000万人もいるとのことであった。このため重症化してから入院してくる患者が多いのも特徴であり、看護学生の実習中でも看護師が忙しかったり、患者が重症すぎたりといったケースも珍しくないため、現場に出てすぐに働けるよう高性能な人形を用いて、技術面でのスキルアップを目指した教育を行っている。日本とは教育の仕方も、現場に出てからの環境も異なるということが分かった。

 また、アメリカにおける看護師の地位についても学んだ。看護師という仕事は、とても高い地位にあり、信頼されているとのことであった。病院で働く看護師の環境を整えることに着目したマグネット・ホスピタルという病院に対する称号も作られた。

講義の後半に、講師への質問タイムが取られた。講義内容への質問とともに、講師自身がアメリカには多くの無保険者がいることや、オバマ大統領の国民皆保険制度に対してどう思っているのかを聞くことができた。オバマ大統領の国民皆保険制度について、一言で国民皆保険とは言っても数百ページにも及ぶ政策で、中には社会に受け入れられるものもあるが、「全てを受け入れることはできない」といった意見が多いとのことであった。また、アメリカには「保険に入らないことも個人の自由であり、自身は健康管理をしっかり行っているのに、不健康な人たちのために健康保険料を払うのは不公平だ」という意見も多く、簡単に皆保険が社会に受け入れられない現状を聞くことができた。

この講義を通して、このセミナー全体で学んできたことの復習となり、さらに日米の医療制度に対する理解が深まった。

 

 4)Living WillsAdvance Directive-Hospice Care

 屋比久 由佳

講義「Advance Health Care Directives」では、「尊厳死のための事前の指示書」について学んだ。アメリカでは現在、入院した患者すべてに指示書を配布することが義務づけされている。これは、患者自身が延命や蘇生が必要になった時のことを考えて、自らの治療・処置をどのように行って欲しいかを選択できるようにしたものだ。延命治療を望むか、人工呼吸、栄養・水分補給を受けるか、痛みの緩和をどのようにするかなどすべて自分で選択できるようになっている。

このような指示書はなぜ始まったのか。それは、医療技術が発達し助かる命が増えたことにより、植物状態・経管栄養状態の患者が増加したが、患者のQOLが守られているのかが問題視されたため、患者自身の意思決定の必要性がでてきた。指示書が始まったきっかけとなった事件がある。ナンシー・クルザン(26歳)が交通事故に遭い、4 年間の植物状態に陥った。家族からこれ以上延命をしないように要望があったが病院側がこれを反対し、裁判となった。裁判では、本人の証言がないことを理由に延命治療の中止が認められなかった。それから3年後、ナンシーが自分の死について、延命を拒否することを友人に語ったという証言が得られ、友人が証人になり裁判が成立した。この事件から、自分の死について考えることが重要だという考えが広がり、多くの人に指示書を知ってもらえるよう情報提供の必要性が認められてきた。

 指示書を書く際には、家族・友人・医師に自分の考えを伝えておくことと、それ以外に2人の証人が必要である。証人となる者には、様々な条件がある。また、指示書の効力は自分の意思が伝えられなくなった時であることも知っておかなければならない。また、州によって異なる細かな条件もある。指示書を活用してもらうためには、指示書の条件を十分に知ってもらうことが重要だ。

講義を担当して頂いたJoan Maeshiro先生は、老年看護を専門としている訪問看護師であり、指示書の普及に努めている方であった。先生は、高齢者の死に直面することが多いため患者のQOLを考えたケアを優先に考え、指示書を勧める立場にいる。多くの人に自分で納得いく死を迎えてもらうためには、指示書の普及が必要である。先生の講義は、セミナーに参加した学生にとって、自分の家族・そして自分自身の死について考えるきっかけになった。私自身、祖母の死を経験したときに、家族で話し合った末、延命治療の拒否を選択した。やはり、チューブでつながれて生かされるよりは、自然のままで亡くなった方が人間らしいという考えからである。家族としても、苦しむ姿は見たくない。自分自身に置き換えてみても、やはり延命治療を施されてまで生きるのは、自然に反しているようで嫌であると感じた。これから看護職者として多くの人々の死に直面するであろう。私としては、患者自身が納得いく死の決断をして欲しいと考える。その手段の一つである指示書についてもきちんと情報提供していけるよう努めたい。

 


3.学生の学び(ハワイ研修を終えて)

●入南風野 愛里

 

私がハワイ研修に参加するきっかけは、大学入学前に大学のパンフレットで海外研修があると知ったからである。私は将来海外で働いてみたいと考えており、海外研修で日本以外の医療について学習するには良い機会であると思っていた。しかし海外研修に臨む前に、日本の医療制度について知識が少なかった。そのため研修参加者と教員で勉強会を事前に行ない、日本とアメリカの医療制度について学習した。今回のハワイ研修は、事前学習に加え、充実した研修内容であり、期待していた以上に多くの貴重な経験と学びができた。

三週間のハワイ研修での学びとして、アメリカと日本の医療制度との比較が挙げられる。アメリカでは、日本と異なり全国民が医療保険に加入しているわけではなく、5万人の未加入者がいるとのことである。保険を買うかどうかは個人の選択であり、保険に加入していない人は医師にかかると高額な費用がかかってしまう。そのため、日本のように容易に病院受診が出来ない現状を学んだ。そして医療費が高額であるため在院日数が日本より短い事を知った。例えば妊婦は出産後2日で退院するそうである。その他にも多くの事を学んだが、私がハワイ研修で感じる事はアメリカと日本の医療制度には、両方に利点と欠点があり、それには人々の価値観の違いなどが関連しているという事である。アメリカの医療制度が日本と異なるため、看護や看護教育においても相違点があることも感じた。

また、印象的だったのはホームステイである。私がお世話になったホストファミリーは、2泊3日の短い期間であったが、本当に親切で充実した休暇を過ごすことができた。日本語が全く話せないホストファミリーと英語がうまく話せない私であったが、辞書と片言の単語や表情を駆使して、朝早くから出掛けて寝るために家に帰る、車の中では音楽を聴きながら踊るなど、アメリカンなノリを楽しむことができた。今回のホームステイで、アメリカの人々の生活、文化について身をもって感じるいい経験ができた。

また、カウアイ島での英会話の授業は、日常生活で使える英会話であったためとても勉強になった。初めは英語を聞きとることも難しかったが、少しずつ相手が何を言っているのか理解できるようになり自分自身の英会話のスキルアップにつながった。

今回のハワイ研修ではアメリカの医療やそこで生活する人々の生活に触れることができ、充実した研修だった。この研修での学びを今後の自分自身の学習に繋げていきたい。

このようなたくさんの学びの機会を提供してくれた先生方、家族、その他協力してくださった方々に感謝しています。ありがとうございました。

 

 ●儀間 千佳


ハワイ研修は1年生の時から興味があったので今回参加したが、英語が苦手で話せない、理解できないのでハワイ研修に参加するまではとても不安だった。

ハワイ研修の1週目は英語を必死に聞いても全然理解できず、授業の内容も隣にいる人に何回も聞いて意味を理解した。英語が話せない、聞いて理解することができないことで外国人とのコミュニケーションが消極的になっているのがとても嫌になった。2週目からは英語をなんとなく聞き取ることはできたが、話すことが出来ないのでKCCの学生と交流するときは電子辞書とジェスチャーを使い自分の話したいことを試行錯誤しながら伝え、その場は乗り切った。少しではあるがKCCの学生と英語でコミュニケーションがとれたのはとても嬉しかった。英語が話せない私が相手とのコミュニケーションの方法で学んだことは、挨拶は相手より先にすること、Thank youを言う、知っている単語とジェスチャーを使う、表情は笑顔、相手が話すときは目を見てうなずくということである。この方法を実践することで相手とコミュニケーションをとるときに英語が少ししか話せなくても消極的にならずに相手と接することができると感じた。語学の向上は、英語の聞き取りや英語でのコミュニケーションはハワイ研修に来る前よりは成長できたと感じたので、語学が向上できるようにこれからも英語の勉強を頑張りたいと思う。

フィジカルアセスメントでは、クイズ形式やフィジカルアセスメントの方法を生徒同士で体験し、楽しく学ぶことができた。人形が機械で操作され、モニターを見ると血圧やSPO2を操作して低下した場合はどのような処置をするかなど看護技術を体験して学べるような授業方法だった。機械で操作された人形を使って看護技術の訓練をすることで緊急時の対応に焦ることなく的確な判断できると感じた。

ホームステイでは、夕食後にホストファミリーとゲームをしたり、観光に行ったり、買い物やオピヒの貝料理やハワイ料理作ってくれたりと、ホストファミリーは、私たちと本当の家族のように接してくれたので、充実した2泊3日を過ごすことができた。ハワイ研修で一番印象に残っているのがFarewell Partyだった。私は、英語が話せないのでいろんな人にサポートされながら英語の勉強ができたこと、またKCCでの研修終了後に終了証書授与されたときはとても嬉しくて、ハワイ研修に来て良かったと思えた。

この3週間はハワイの文化や歴史、アメリカの医療制度仕組みを学ぶことができた。また、異文化を学ぶことで自分の視野が前よりは広がったと思うのでこのハワイ研修で学んだ知識と経験をいかしていきたい。

 

●金城 美華

 

私は、このハワイセミナーを通して多くの貴重な経験をし、多くの事を学ぶことができた。まずKCCでのConversational Englishの講義ではEric先生が聞き取りやすく、分かりやすい英語で、自己紹介の方法やKCCの学生との交流時のポイント、沖縄についての紹介を行う際のポイントを教えてくれた。また、Home stayに必要な英会話表現、ハワイの文化やアメリカの医療の現状など、自身の経験を交えながら話してくれて、英会話以外にも幅広く学ぶことができた。

カウアイ島では、地元の人々がとてもフレンドリーであった。そのため、日々の生活などを通して、地元の人と関わる場面もあり、その何気ない普段の会話をすることでも、英会話力の向上になったのではないかと感じ、カウアイ島で良かったと感じた。

 この研修で印象に残っている経験の一つが、Home stayである。私自身、英語でうまく意思疎通ができるか、人見知りしないかなど不安や緊張があった。しかし受け入れてくれたFamilyはとても気さくで、フィリピン系と日系の夫婦だったので、日本語混じりの英語や分かりやすい英語を使ってくれた。コミュニケーションで困ることはほとんどなく、安心して3日間を過ごすことができた。Home stayの3日間は、観光やショッピング、

County fair、職場に連れて行ってもらったり、ハワイの文化やボディボードを教えてもらったり、ハワイ料理を食べたりもした。また、教えてもらうだけでなく、日本や沖縄について聞かれることもあり、私自身、できる限りの英語能力を駆使して、表現したことは、異文化交流のみでなく、英会話能力の向上にもつながったのではないかと感じ、とても充実したHome stayであった。最後は帰りたくないと思うほど、とてもよい経験だった。

アメリカ・ハワイの医療・看護の現状は、カウアイ島での2つの病院、KCCヘルスセンターの視察、Eric先生の講義、オアフでのNursing and Healthcare in U.S.A. TodayAdvance Directivesの講義、ホスピス視察、日本での事前学習で学んできたアメリカの医療について振り返りながら学ぶ事ができた。またKCCの看護の教育設備が充実していたのに驚かされた。それはアメリカの医療の現状である在院日数が短いことなどが影響しているということを知った。ハワイは移民が多く、アメリカのヘルスケアや保険に対する考え方の特徴でもある個人主義的なものとは異なった、日本的なコミュニティを重視した考え方に近いということを知ることができた。日本とアメリカを比較しながら学ぶことができ、私自身もっと学びを深めたいと思うきっかけとなった。

今回のセミナーを通して得た多くの学びや経験を、今後の学生生活や看護に活かしていきたいと思う。またこのセミナーを支えてくれたOPCNの先生方、KCCのスタッフの方々、Host Familyのみなさん、日本で支えてくれた家族、そして、一緒にセミナーに参加したメンバー、このセミナーを支えてくれた多くの人々に感謝します。ありがとうございました。MAHALO!!

 

 ●具志堅さき

 

 私は、アメリカ医療制度について先進的なイメージを持っていたものの、看護についての知識がなかった。そこで、実際のアメリカの看護の仕組みや保険制度について学び、また、語学力の向上を目標にこのセミナーに参加した。

 まず驚いたのは、ハワイと沖縄にはとても共通点が多いことであった。特にカウアイ島は気候だけではなく、時間がゆったり流れているような気がして安心して過ごすことができた。

 実際に様々な人と英語で会話をしてみて今までの自分の英語が全く通用せず、今までの学習法を振り返り、反省点も見つけることができた。またはじめは英語に対する苦手意識があり、自分から話しかけるのは恥ずかしいと感じていたが、Conversational Englishの授業や3週間たくさんの人々との関わりの中でコミュニケーションの方法は言葉だけではなく、ジェスチェーや笑顔で相手のことを知りたいという姿勢でいることが重要であることを学ぶことができた。ハワイでは出会う人みんながとてもフレンドリーで、相手からどんどん私たちに話かけてくれたので、自然と英語で会話する場面が多かった。特に通学で利用していたバスの中で地元の人や同じように観光に来ている様々な国の人と話す機会があり、降りる場所を教えてくれたり、観光名所を教えてくれたりと親切にしてくれとても助かった。英語で会話をしてもなまりがあって聞き取りにくかったり、私の英語が伝わらなかったことも多かったが、お互いに工夫して楽しく会話することができた。バスの中での会話が一番語学の勉強になったと思う。

 ハワイには日系人・沖縄県系人がとても多く、私と同じ苗字の方とも出会ったり、オアフ島では‘沖縄フェア’に行く機会があり、海外で暮らしていても沖縄県民として活躍されている人々を知り、改めて沖縄の歴史やアイデンティティについて見つめ直すきっかけにもなった。

 KCCの学生に限らず、私が看護学生であると自己紹介すると「あなたはどの科を希望しているの?」と聞かれることが多く、3年生にもなってまだ自分の将来について深く考えられていないことに気づかされた。KCCの看護学生は平均年齢が高く、一度他の学科を卒業していたり、就職したことがあったり、看護以外の経験も積んだ上で看護に進むことを決めていることもあり意識が高いと感じ、私も自分が何をしたいのか、これからどうしたいのか考えていかなければならないと感じた。また、看護学部にあるシュミレーション室などを見学したことで、実践を想定した授業に力を入れているなどアメリカと日本の看護の教育の違いについても学ぶことができた。事前学習ではアメリカの保険制度についてあまり良い印象を持てなかったが、個人主義のアメリカの国民性、価値観の違いを感じ、一概に日本のように国民皆保険を導入することがアメリカにとって良いこととは限らないことが分かった。この研修で日本では体験できない貴重な体験や良い出会いがたくさんあり、学びの深い3週間だった。この経験、学びを今後の学生生活に活かしていきたいと思う。

 

 幸地 伊都子

 

 受験の時から、この大学に入学したら絶対にハワイ研修に参加したいと考えていました。外国の医療制度を、外国の大学の授業や病院見学を通して知ることができる、ということはとても魅力的なことでした。

研修に参加する直前には、体調を崩したこと、3週間も共同生活をこなせるのか、英語での授業についていけるのか、などの不安でいっぱいになりましたが、参加してみるとそのような不安を感じる暇もないくらいに毎日が楽しく、忙しかったです。

 カウアイ島では、KCCの職員の方々にとても親切にしていただきました。送迎バスの手配やボタニカルガーデンまでの送迎、病院見学時の同行などでお世話になりました。コンドミニアムでの慣れない共同生活や自炊などを行っている中で、フルーツや食事の差し入れを何度もしていただけたことも本当に助かりました。また、実際にKCCの看護学生と交流するためのランチ会を設けてもらうことで、アメリカの医療制度がどうであるのか、接した学生の出身国の医療制度はどうであるか、などを話し合う機会にも恵まれ、とても貴重な経験ができました。英会話の授業の中で、他の留学生クラスに参加して、英語が母国語でない者同士で交流を持つことができたことも良い経験になりました。ホームステイでは他人の家に泊まる、ということはどういうことなのかを知ることができ、勉強になりました。

 オアフ島では沖縄について改めて学習する機会に恵まれました。また、医療制度についても担当の先生の見解を交えながら詳しくお話を伺うことができてよかったです。

 上記の内容に加え、3週間の研修を通して、看護や医療制度について学ぶだけでなく、共同生活をうまく行っていく方法や、自分の健康管理をする方法などについても学ぶことができたことは大きな収穫だったと思います。研修当初はルームメンバー同士遠慮があり、緊張も全くなかったとは言えませんが、3週間一緒に生活する中でお互い楽しく生活を送るためのコツのようなものを学ぶことができ、ルームメンバー以外でも研修参加者全員が協力して不満を溜め込まないように過ごす姿勢を築くことができたのも、チームワークを築くための良い練習になったと実感しています。食事も日本とはだいぶ異なるため、体調を崩さないように野菜と果物を多めに摂取したり、コンドミニアム周辺を走ったりするなどして健康管理を意識した生活を送れるようになったことも良かったと思います。

 3週間海外の大学で講義を受けたり、病院を見学したりして過ごす機会はめったにないと思います。このような貴重な経験をさせてくれたOPCNおよびKCC、そしてハワイ大学マノア校の方々に深く感謝しています。本当にありがとうございました。今回の経験は今後の自分の進路を考える上で非常に大きな影響がありました。今回の研修で知ることができた自分の強みと弱みの両方を、今後の生活で改善していきながら活かしたいと思います。

 

 ●呉屋 緑香

 

 私は、大学1年の頃からハワイ研修に行こうと決めていました。理由は、海外の医療に対する少しの興味と、研修に行った先輩たちの写真をみて、ただ単に楽しそうだったからです。実際、3週間のハワイ研修に参加し、想像以上に多くの事を学ぶことが出来て、研修に参加して本当に良かったと思っています。

 まず、カウアイ島では人の温かさに触れ、自然の素晴らしい環境の中で英語やハワイの文化を学ぶことが出来ました。私は英語が得意な方ではないので、初めの1週間は英語で話さなければならない環境に緊張し、またネイティブの英語が全く聞き取れないことに不安を感じ、消極的になっていましたが、KCCでの英語の講義やMahelona Hospitalでのスタッフや患者との関わり、ホームステイ先での交流、フラダンスやロミロミマッサージなどを通して、コミュニケーションは言葉だけではないことを実感しました。顔の表情やジェスチャーを交えながら、自分が知っている限りの英単語を言うだけでも思いや伝えたいことが通じて、またハワイの人たちも理解しようと話を一生懸命聞いてくれました。外国の人と交流を持ったことで、自分の英語力を試すことができましたが、もっと英語をペラペラと話すことができたら、外国の人と色んな情報交換が出来たのに、と悔しい気持ちにもなりました。

 アメリカの医療制度については、ハワイに行く前に事前学習で調べてはいましたが、皆保険ではないために医療費がとても高く、日本のように気軽に病院へは行けないことを改めて知ることが出来ました。初めは、医療費が高すぎて問題になっているのであれば、「日本のように皆保険制度にすれば良いのに」と簡単に考えていましたが、アメリカは個人主義的で、「保険に入るか入らないかは個人が決めることで、国が決めることではない」という考え方をする人たちもいることを知りました。「病気にならないように努力している人も保険に入らないといけないのはおかしい」、「将来、病気になったとしても保険に入っていなくて医療が受けられないのは個人の責任だ」という考え方です。確かに、その考え方が間違っているとは言えないし、そのような考え方もあるのだなと、そこに文化の違いを感じました。そのことから、日本人が当たり前で正しいと思っていることでも、国が違えばそうではないし、色々な考え方があるので、日本人としての価値観で意見を押し付けたり、何が正しくて何が間違っているのかを決めることは出来ないことを知り、また異文化理解の大切さを学びました。

 

 新城 映乃

 

 今回私がハワイ研修に参加したのは、沖縄以外の国や環境に興味があり、また本場の英語に触れて少しでも自分の英語を上達させたいということが大きな理由でした。そのため研修では積極的に英語を使っていきたいと思っていましたが、実際には何を言っているのかを理解することがとても難しく、また自分の伝えたいことが上手く言葉に出来なくてとても苦労しました。しかし、エリック先生の英会話の授業で、今まで習ってきた文法にとらわれずにシンプルでいい、ということを学び、英語で会話することへの不安感はかなり取り除くことが出来たと思います。

 カウアイ島はとても自然豊かで、時間がゆっくり流れているとてもいいところでした。施設はどこも窓が大きく、そこから海や山などの自然がよく見え、太陽の光がいっぱい差し込み、とても暖かい環境を作り出していました。沖縄もカウアイ島と同じくらいの大きさで、同じ島国なので、見習うところや参考にすることはたくさんあり、また“沖縄らしさ”とはなにか考えさせられました。

 次に行ったオアフ島はまさにハワイの中心地であり、日本人観光客も多く、カウアイ島とは全く違う環境でした。大きな観光地なので様々な言語(特に日本語)が飛び交い、ハワイにいるのに一瞬ここがどこなのか忘れてしまうという不思議な感覚を味わうことが出来ました。

 ハワイでの講義は1つ1つが面白くて、日本とは違う授業スタイルにいつも驚かされました。黒板の前に先生がいて、生徒は受動的に講義を聞くのではなく、円形に並べられた席の中心に先生がいて模型をいっぱい使ったり、先生の質問に生徒が答え、その答えからその日の講義を組み立てたりしていました。脳神経の講義では、実際にその神経が正常なのかを判断する検査方法を交えながら学び、最後にみんなでテストし合い正答率を競いました。今でもそのときに学んだことは覚えており、とても内容の濃い講義ばかりでした。

 この研修を通して、私の英語力の低さを痛感したと同時に、英語を再度勉強するきっかけができました。他にもアメリカの医療制度と日本の医療制度を比べることで、それぞれのメリット・デメリットや様々な考えを知ることができてとても勉強になりました。また、沖縄の外の世界を見ることで沖縄の良さに気づけたこともあり、自分の中の視野が広くなったように感じます。この貴重な経験をこれからの自分に活かしていけるようにもっと頑張っていきたいと思います。このハワイ研修に関わった全ての方々、そしてなによりこのハワイ研修への参加に協力してくれた家族に感謝しています。ありがとうございました。

 

 ●勢理客 美沙子

 

 今回のハワイ研修セミナーは、この研修の目的である文化交流、英語力の向上、外国の医療制度の理解はもちろん、それ以上に大きなものを学ぶことができました。

 KCCでの講義では、ホームステイや日常会話に必要な英会話を学ぶことができ、とても日常生活に役立てることができました。KCCの学生との交流なども通して、今までよりも英語で会話することへの度胸がつき、また言語のみではないコミュニケーションの取り方も学ぶことができました。

 Mahelona Hospitalへの視察では、日本の病院との比較をしました。日本人の文化を持った患者も多くいるとのことで、病院内には日本庭園など、日本の雰囲気を持った場所がたくさんありました。その後のデイケアへの参加は、認知症が進行しておりほとんど喋らない患者に付き添い、最初は会話が成り立たずに戸惑ったのですが、言葉が通じなくても肌で触れ合ったり、表情を観察するなどして患者の気持ちに寄り添うことが大事であるということを、改めて実感させられました。また、Veteran’s Memorial Hospitalの視察でも、やはり日本よりも院内がカラフルで、病院といった重苦しい雰囲気を感じさせない造りになっていて、患者への配慮がされているということが分かりました。

 St. Francis Hospiceへの視察では、始めてのホスピス見学で、先に日本のホスピスを見学してから、この見学に臨むことができたらもっと違う視点で捉えることができたのではないかと感じたのですが、このホスピスはとても心が落ち着く環境が整えられていて、すごく穏やかな時間が流れている場所でした。しかし、ホスピスへの入所には1400ドルもかかるということを聞いて、ここにも医療保険制度や、個人主義といった日本との文化の違いがあることを感じました。Nursing and Healthcare in U.S.A. todayの講義でも聞いたように、個人主義であることによって、国民皆保険制度が社会に受け入れられにくい状況になっているということを実感させられました。

 そして、日系2世で日本の文化とハワイの文化を併せ持つホストファミリーの元に、23日のホームステイをしました。一緒に生活をすることや、観光、会話を通して、ハワイの方の生活の仕方や、家族との関係などの文化を学ぶことができたし、また英語力の向上にもつながりました。何よりも、ハワイの方の好意が嬉しく、とても温かく迎え入れてくれて、楽しく快適に過ごすことができた3週間でした。

 また、3週間という学生同士の長い共同生活も、自分たちで買い物に行ったり家事を行ったりすることで、自立心が芽生えたと思うし、また部屋のメンバー同士の結束も強まったと思います。

3週間の研修で、ここには書ききれないほどの学びや成長があり、この研修に関わった全ての方に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

 

 ●山城 暁子

 

 今回のハワイ研修への参加は、大学入学当初から決めていました。海外へ行くのが初めてだったので異文化に触れることが楽しみでもありましたが、英語の苦手な私にとっては不安でもありました。しかし、ハワイの方は皆さん優しくて、周りの友達とも協力し合ってなんとか乗り切ることができました。英語を話す事に消極的だったので「もっと話しておけば良かったな」と少し後悔はありますが、充実した3週間になりました。

 最も印象に残っているのは最初に訪れたカウアイ島にはとても自然が多くて、沖縄では見ることのできない景色を見ることができたことです。映画の撮影にも使われるぐらいの広大な自然があり、とても感動しました。また、カウアイ島の人たちはとても気さくで、バスに乗ると「どこから来たの?」「ハワイはどう?」と話しかけてくれたりして学校以外でも英語の勉強をすることができ、この気さくさが沖縄にはない異文化だなと感じた。

 研修で受けた講義は今まで受けてきた講義とは違っていて、Microbiologyでは体に良い菌、悪い菌について考える機会となり、Medical Plantsでは普段目にする植物がどのように使われていたのか、どのような効能があるのかを自然の中で知ることができた。オアフ島での講義はハワイと沖縄の歴史についてや、アメリカの医療制度と日本の医療制度の違い、尊厳死についての話しを聞くことができ、ハワイと沖縄の繋がりがとても深いことを知り、医療制度について考えさせられたり、またアメリカの人たちの個人主義的な考えを知ることもできました。

 病院見学では、施設内の様子や機器を見せてもらい、勤務している看護師から現場の話しを聞くことができ、実際に患者さんと触れ合うこともできた。そこで日本の病院との違いや、医療の質の違いも感じることができた。

 ハワイ研修に参加して、日本にはない医療制度を学ぶことができ、異文化にも触れることができてこんなにも長い間英語にも触れることができ、たくさん初めての経験をすることができました。この研修に関わった全ての人に感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 森田 彩

 

3週間のハワイセミナーを通して、語学力、コミュニケーション力、ハワイの文化・医療・看護、人の温かさ、沖縄とハワイのつながり等、自分の予想を大きく上回る多くのことを学ぶことができた。

カウアイ島で一番感じたことは、人の温かさである。Brian先生は荷物を運んでくれたりたくさんの食べ物を提供してくれたりランチも毎日一緒にとっていただき、Eric先生はクラスも観光も身の回りの生活も全てにおいて私たちの世話をしてくれた。慣れない土地や慣れない言語の中だったので2人の存在は安心でき、嬉しかった。ホームステイでお世話になったMones夫妻からは、たくさんの観光やBodybord、ミニゴルフに連れて行ってもらい、心に残る楽しい思い出をもらった。皆はにこにこといつも笑って私たちを見て支えてくれ、この支えがあったからこそ一生心に残るとても楽しくて有意義な2週間を過ごすことが出来たのだと思う。また最初は、英語で自分の考えや気持ちが伝わるかどうか不安があったけれど、Eric先生がもっとカジュアルに喋っていいよと言ってくれ、コミュニケーション重視の英会話を教えてくれたので、少しずつ人と話す自信がついていった。これに加えてKCCの学生との交流やカウアイで過ごす日々の中で、頼る人も辞書もなくどうしようと焦る時もあった。どうにか自分の言いたいことを伝えようと簡単な英語やジェスチャーを使って表してみると、どんどん会話が進んで行ったので嬉しかったし、だれにも頼らないで自分の力で乗り切ることもできるということや、英語は習うだけではなく実際に口にして使っていかないと上達しないということがわかり、とても良い経験となった。

さまざまなハワイの病院やホスピスの見学、医療に関する話、看護教育などのことを学んでいくうちに、最初はぼんやりと話を聞いていたことが「教育が技術中心で患者を思いやる心などはあまり重視されていないのは在院日数が少ないから」「在院日数が少ないのは入院費が高いから」というように、どんどん自分の中でつながってき、アメリカの看護や医療制度、保険、個人主義という価値観・文化の違いをつなげて考えることができるようになった。オアフ島での研修ではホスピスの見学や尊厳死など人の死について深く考えさせられ、死は身近にあるものなのだと実感した。

ハワイで見るものすべてが自分にとっての新しい発見であり、今まで沖縄しか見えていなかったことに気付き、視野が広がったように感じた。この貴重な体験を今後の学びに生かし、さらに知識を深めていきたいと考える。

このように充実した3週間を過ごす事ができたのも、ハワイ研修の機会を作ってくれた先生方、ハワイで私たちを見守ってくれた方々、一緒に研修に参加した13人のメンバーのおかげだと思います!本当に楽しくて毎日があっという間で、人とのつながりっていいなって心から思いました。MAHALO!!

 

 ●安富 妃菜子

 

今回のハワイセミナーが初めての海外であったので、私はドキドキわくわくと楽しみや期待の半面、英語でのコミュニケーションに不安を感じていた。そのため、最初は消極的な態度でセミナーに参加していた。しかし、3日目のConversational Englishの授業でエリックが「英会話は難しく文法を考えるのではなく、easyに!カジュアルに!恥ずかしがらず伝えようとすることが大事だ。」との話しを聞いて、私の中の英会話に対する考え方が変わった。そのため、その日の帰宅時のバスで隣りになった青年に、自分から話しかけてみた。最初は緊張もあり上手く話しができずに沈黙になることもあったが、自分の未熟な表現力の中でも頑張って話し、伝えようとすると相手も理解してくれて、徐々にコミュニケーションが取れるようになっていた。しかし、質問したい内容があっても、どのように表現して良いのかわからずに悔しいと感じ、もっと勉強して色々な人とコミュニケーションを取りたいと思うようになった。私は、日本での英語の学習は受け身的な部分が多かったが、この体験を通して積極的に英語を学ぼうという気持ちが出てきて、3週間で英会話でのコミュニケーション能力は向上したと実感している。

 また、このような英会話に加え、セミナーでは講義や施設見学を通して看護について学ぶ機会も多く、日本とハワイの医療制度の違いや看護教育の違いについても知ることができた。事前学習を通して、アメリカでは無保険の人たちが医療を受けることが出来ず困っている状況を知っていたが、セミナーを通してより詳しく学ぶことができ、さらに日本の皆保険制度の良さを実感することが出来た。また、私が一番驚いたのは看護教育の違いである。日本では患者の精神的なケアも重要視しており、コミュニケーションも看護の一つの要素となっている。しかし、アメリカでは医療費が高いため、状態が悪くなってから病院にくる人が多く、早期に退院させることが多い。また、看護師の仕事も専門化されているので患者との関わりが少ない現状があり、どうしても技術に教育が傾いているようだった。学校にはバイタルや肺音を聞くことのできる人形があり、先生方がコンピューターで操作し、学生が異常を発見して対応するという実践的な教育を受けることができていた。そのため、学生の時から高いアセスメント能力を磨くことができ羨ましいと感じたが、日本ではアメリカに比べて患者との関わることができる恵まれた環境にあるので、身体的なケアはもちろんのこと精神的なケアにこれからも重点を置いていきたいと思った。

 今回のセミナーでは、フラダンスやロミロミマッサージを習ったり、ホームステイや観光を行ったりと、とても楽しくて濃い貴重な時間を過ごすことが出来た。このような体験ができたのもKCCやハワイ大学の先生方、ホストファミリー、見学施設の関係者、引率の先生方のサポートのおかげです。本当にありがとうございました。この経験をこれからの英語や看護の勉強に役立てて行きたいです。

 

 ●屋比久 由佳

 

 今回私が、海外研修セミナーに参加した目的は、インターナショナルナースに興味があり、英語でのコミュニケーションスキルの向上、アメリカの文化理解を通して、アメリカの医療制度の実際を知る絶好のチャンスだと知っていたからです。

英会話の講義では、Eric先生が話すことに焦点をあてて授業を進めてくれました。「自分の持っている語学力を生かし、伝えることからコミュニケーションは始まる、喋ることからやってみよう」と教えてくれました。授業はすべて英語なので、英語がさらに好きになり、今まで習ってきた英語力をフルに発揮することができました。ハワイで関わった多くの人とコミュニケーションを取ることができました。また、英会話だけでなくハワイの歴史や文化・医療制度についても学べたため、コミュニティーカレッジの学生やホームステイ家族との交流や、病院視察、その他のプログラムをより理解することに役立ちました。

ホームステイでは、山本ブライアン先生宅にお世話になりました。先生からは植物の大切さや素晴らしさ、植物と医療のつながりを学びました。またカウアイ島の観光スポットを案内してもらい、自然を満喫することができました。ハワイは移民が多い島であるため、日本のだけでなくフィリピンや韓国、中国、もちろんアメリカなど様々な国の影響を受けていることを、家庭料理や住まいの雰囲気、服装や振る舞い、人々との交流の仕方から学びました。

アメリカの医療制度事情について、日本と異なり、医療費が高いということがで多くの国民が病院にかかることに抵抗があり、病院受診は気軽にできるものではありませんでした。入院日数も短く、妊婦に至っては産後48時間以内に退院するとのことでした。このようにアメリカは入院日数が短いのですから、看護教育においても技術が求められています。実際、私たちの大学以上にこちらの看護学部では学習機器が揃っており、その内容は実践的で、機械的な看護というイメージを持ちました。このように看護教育の違いからも医療制度を学ぶことができました。

今回、ハワイセミナーに参加したことは、国際的な視野を広げるチャンスとなりました。英語学習への意欲がさらに高まり、国際的な看護師にも興味が湧きました。またハワイでの出会いは私にとっての財産で、今後も交流を深めていきたいです。引率教員である當山先生、伊牟田先生のおかげで、安心・安全に、計画日程以上の学びのチャンスが得られ、しっかりとしたミーティングで、学生含め先生方の意見・考えを吸収し学びを深めることができました。セミナーに参加した学生間では、共同生活や日々の行動を通してさらに仲を深めることができました。このような素晴らしい経験ができたのも、セミナー研修に協力してくれた学務課をはじめ、事前学習を担当して頂いた先生方、なにより家族のおかげです。協力して頂いたすべての人に感謝して、研修での学びを今後の私自身に活かしていきます。本当にありがとうございました。

・写真