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報告書

第1回ナーシング・キャリアカフェ 沖縄
「沖縄ではぐくむしなやかナース」シンポジウム 報告書

参加大学:琉球大学、沖縄県立看護大学、名桜大学
日時:2013年3月17日(日)  13:00~16:00
場所:ムーンテラス東崎・音楽堂

 

シンポジウム(参加者50名)
時間 内容 シンポジスト
13:00 開会 伊藤智美氏
屋良利枝氏
伊波華氏
吉澤龍太氏
山崎千鶴子氏
13:05 事業説明
13:20 シンポジウム
14:20 Q&A
15:00 名刺交換会

ナーシング・キャリアカフェ(参加者18名)
時間 内容
15:00 ナーシング・キャリアカフェ説明
15:05 卒業生との交流会
卒業生(琉球大学3名、沖縄県立大学2名、名桜大学3名)
16:00 アンケート回収

 

1.目的と概要:

 ナーシング・キャリアカフェは、看護学生と卒業生・プロフェッショナルが交流できる拠点であり、新博多サテライト(博多)と沖縄サテライト(西原町)を設けている。今回、沖縄地区のナーシング・キャリアカフェのキックオフとして県内3大学(琉球大学・沖縄県立看護大学・名桜大学)が合同でシンポジウムを企画した。シンポジウムのテーマは「沖縄ではぐくむしなやかナース」として、県外や県内で活躍している専門看護師5名と参加者との交流を図り、身近にキャリア像を描くことで、しなやかな使命感を育むことを目的として実施した。

2.内容:

2-1)シンポジウム(13:00~15:00)

 前田和子学長(沖縄県立看護大学)は開会挨拶にて、しなやかなナースを育てる教員のしなやかさに触れられた。次に、金城祥教学部長(名桜大学)による本プロジェクトが生まれた背景と目的、取組内容の紹介・説明が行われた。
 砂川洋子教授(琉球大学)による総合司会のもとで、専門看護師5名から、専門看護師を目指したきっかけ、専門看護師としての活動、仕事上のエピソードなどが紹介された。
 その後、会場内の学生や参加者から、質問やコメントがあり、シンポジストとの意見交換が行われた。

 

シンポジスト1:伊藤智美氏 急性・重症患者看護専門看護師

 

 看護大学卒業後、あるTV番組「あなたの声が聞きたい~意識障害者をよみがえらせる~」がきっかけで、職場・部署を選択した。その後、大学院修士課程で学び、脳卒中センターで勤務するも知識・技術不足を感じて、大阪府立大学看護学研究科CNSコースを修了し、専門看護師となった。現在は副看護部長の役割に就き、CNSとして横断的に看護実践、看護外来(周術期支援外来)、教育、相談・調整、ケアチーム(呼吸ケアチーム、ICLSチーム)活動を行っていることが紹介された。

 

シンポジスト2:屋良利枝氏 老人看護専門看護師

 

 急性期病院に勤務しながら、人間の死に対し、鈍感になっている自分が嫌になり、臨床を離れた。その後、訪問看護で患者と向き合い、寄り添うことを通して、自らの視点が医療モデルから生活モデルへ移った。ケアマネージャーとしては、看護師として実践能力だけでなく、調整能力やコンサルテーション能力が問われた。また、認知症ケアを通して、高齢者の意思を支えることの難しさ、「死にたい」という高齢者に対し、どのように対応することがよいのか、家族やまわりの人達と一緒に考えるとはどういうことか、疑問を解決するためにCNSを目指したことが紹介された。

 

シンポジスト3:伊波華氏 がん看護専門看護師

 

 大学から直ぐに大学院(がん看護専門看護師コース)へ進み、専門看護師、認定看護師が多く在籍する静岡県立静岡がんセンターへ就職した。病院内に認定看護師の研修施設が併設し、院内外へ認定看護師を育成している。がん看護専門看護師の先輩の活動や関わりを学びながら、サブスペシャリティ(婦人科がん、リンパ浮腫ケア)を見出した。現在、がん専門看護師として、リンパ浮腫の患者を中心とした実践、指導、教育、コンサルテーションを行っていることが紹介された。

 

シンポジスト4:吉澤龍太氏 がん看護専門看護師

 

 看護師として働く中で、いまの自分のままでいいのかという疑問があった。娘の誕生によって責任感と節目を感じた。偶然にも出身大学でCNSコースが開設したため、がん看護を専攻に決めた。現在、病棟活動、緩和ケアチーム活動を行い、患者・家族だけでなく苦悩している看護師への支援を心掛けている。CNSとして活動を始めてから、年間の緩和ケアチーム依頼件数は大きく増加している。今振り返ると、偶然はaccidentではなく、chanceだったのだと思うと紹介された。

 

シンポジスト5:山崎千鶴子氏 精神看護専門看護師

 

 看護師、助産師免許取得して就職。経験を積んで海外青年協力隊で国際看護に挑戦した。米国での看護研修でCNSと対面したことがきっかけで、精神看護専門看護師を目指した。2004年に専門看護師認定取得後、2009年に更新し、専門看護師活動継続している。現在、精神科病院で実践活動し、スタッフのメンタルヘルス支援や、再入院を短期間で繰り返す精神障害者およびその家族、地域へのケア、管理のコンサルテーションに携わっていることが紹介された。

 

名刺交換会

 

 嘉手苅英子学部長(沖縄県立看護大学)によるシンポジストと参加者への御礼を兼ねた中締めの挨拶後、参加者(学生、看護師、教員)とシンポジストとの情報交換や名刺交換が行われた。


2-2)ナーシング・キャリアカフェ(15:00~)

 沖縄県内3大学(琉球大学・沖縄県立看護大学・名桜大学)の卒業生と在校生、専門看護師を3つのグループに分け、在校生の疑問・質問に卒業生が応える形で開催された。

【卒業生内訳】
卒業大学名 氏名 職場
琉球大学 熊倉深里 がん研有明病院
砂川綾美 琉球大学医学部附属病院
木村安貴 国立がん研究センター
沖縄県立看護大学 吉永浩 久米島町役場
新城俊 沖縄市役所
名桜大学 野崎希元 豊見城中央病院
宮城秀成 北部地区医師会病院
内間夢末 南部徳洲会病院

【参加学生】琉球大学1名、沖縄県立看護大学9名、名桜大学8名

 

3.まとめ

 沖縄県で登録されている専門看護師は4名で、全国から見ても少ない状況にある。今回、県内3大学に関係する5名の専門看護師から、専門看護師選択のきっかけや実際の活動を紹介してもらう、キックオフシンポジウムを行なった。看護学生には、プロフェッショナルとしてキャリアを確立していく過程を知ることで、今後の方向性を考えるきっかけとなり、臨床で働く看護師にとっては、今後のキャリアアップの具体化を後押しするいい機会になったのではないかと考える。
 ナーシング・キャリアカフェに参加した看護学生は、卒後1~3年目の看護師や中堅保健師である先輩方との交流を通して、看護の広がりを具体的にイメージできたと考える。今回、シンポジストである専門看護師も飛び入りで参加してくれたので、在学生も卒業生も、そしてシンポジストも、それぞれの疑問や考えを聞くことができる、またとない機会が実現した。
 ナーシング・キャリアカフェは看護学生がキャリア像を確立するための支援の一つであるが、この場での出会いと対話は、しなやかな使命感を育むchanceと考える。

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