島嶼看護

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 I 教育プログラムの概要

1. プログラム概要と概念図の説明

 名称:「島嶼看護の高度実践指導者の育成」:
     島嶼現地指導と遠隔指導の融合型教育について

1.プログラム概要と概念図の説明

1)本大学のプログラム設立の趣旨
 沖縄は、多くの島嶼地区(有人離島39)を有していることから、県内の島嶼地区で活動する看護職者の育成が求められている。そのため、学部教育では開設当初すでに「島嶼保健看護」の科目を設けて教育してきた。また、大学院開設後は、島嶼地区で働く看護職者を受け入れ遠隔講義システム(Flash Communication Server:以下、FCSとする)により遠隔教育も行っており、教員・大学院生の研究も島嶼地区でのケアに関連したものもすくなくない。しかし、これまでの大学院教育における島嶼看護に関する体系的・組織的な取り組みは十分とはいえない状況であった。
 多くの島嶼を持つ県の看護大学としては、これまでの実践をふまえ、島嶼の看護活動と多職種連携活動を担う高度実践者、実践的教育研究指導者の育成を本プログラムで実施する。

2)教育プログラムの目的
 保健医療福祉、教育・行政などの幅広い多職種ケア連携・協働による保健医療福祉活動を通して、島嶼住民の生活文化に根ざした看護を実現できる高度な島嶼看護専門能力の育成を目指す。

3)プログラムの概要
島嶼保健看護の科目の充実:学際的な教育研究を課題とする先端保健看護分野に島嶼保健看護領域を新設し、専門科目として島嶼保健看護特論 I・II、同演習、同課題研究 I・II、コア科目に地域文化看護論、選択科目に多職種地域連携論、国際島嶼看護論の科目を増設し、島嶼看護の教育と研究を体系的に行うプログラムを構築する。従来の博士前期課程の実習単位数を4単位から6単位以上にし、課題研究を8単位から4単位とし、より実践に重きを置いた単位配分とする。さらに、島嶼看護専門看護師育成のための教育内容と方法の提言を目指す。

宮古島を拠点とした島嶼看護学教育・研究:島嶼保健看護領域を履修する学生は、主な学習拠点を宮古島に置き、指導教員も現地にて指導を行う。特に島嶼保健看護演習・実習においては、島嶼住民の健康問題に着目して、多職種と協働して学習できるよう指導する。課題研究は、島嶼地区に特有な現場の問題を取り上げてテーマを選択し、多職種と協働して解決するアクションリサーチを主にした課題研究に取り組む。社会人入学者に対しては、長期履修学生制度の導入などを行う。演習・課題研究は、個人演習・研究のみでなく、グループワークを中心としたプロジェクト型の演習・課題研究を推進することで、多職種連携・協働に必要な能力を養う。

太平洋諸島における島嶼看護学教育・研究:これまでハワイ大学やカウワイコミュニティカレッジと大学間協定を締結し学部・大学院教員の研修・交流を8年間実施してきた。この実績を基に、大学院の学生の演習・実習の場としてアジア太平洋諸島(近隣の台湾やグアム、カウワイ島など)における短期研修や交流を通じて、国内外の島嶼特有の健康問題を把握し、グローカルな視点で問題を解決できる能力を養う。特に台湾やグアムは沖縄に近く、文化や歴史に共通点があり、また戦時中における県民の疎開先としても深い関わりがあるため、相互交流による島嶼看護に関する学習の成果が期待される。学生の研修旅費の面でも費用対効果が高いと言える。

インターネットを利用した遠隔教育:これまで離島在住の学生に対して、本大学独自の遠隔講義システム(FCS)や週末講義の開講、短期集中講義開講などを導入してきた。これに加えて更に通信環境を整備し、テレビ会議システムの導入による講義やゼミ、会議を開催(国内外島嶼地区)し、宮古島からも発信する双方向の学習交流の推進を図る。科目履修の促進にも効果が期待できる。

 

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