島嶼看護

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資料7:2) グアム・サイパン・テニアン学術交流基盤調査記録

1.グアム 2.サイパン 3.テニアン

1.グアム

期 間:2009年2月2日(月)
訪問先:(1) University of Guam Micronesian Area Research Center
     Dr. Hiroyasu Kurashina,
     Dr. Rebecca A. Stephenson,
     Lavonne Guerrero-Meno (Administrative Officer),
     Emily D. Rosario (Research Consultant)
    (2) University of Guam School of Nursing & Health Sciences
     Dr. Maria I. Salomon (Director),
     Karen Cruz (Instructor of Pre-Nursing),
     Teofila Cruz (Instructor),
     Dr. Helen Downey (Associate Prof. of Community Health),
     Margaret Hattori-Uchima (Assistant Prof. of Fundamentals of Nursing),
     Tina Blas (Guam Nursing Association)
    (3) University of Guam Academic & Student Affairs
     Dr. Helen J.D. Whippy (Senior Vice President)
    (4) Central Public Health & Social Services Diagnostic Treatment Facility
     Margarita Gay (Director)
    (5)U.S. Naval Hospital, Guam
     Cynthia J. Gantt (Senior Nurse Executive),
     スタッフ9名(男性3名、女性6名),
     David B. Miller (Captain, Medical Service Corps)
    (6) Guam Memorial Hospital
     Cathy McCollumの代理
歓迎会:本学5名、グアム関係者12名、通訳1名 合計18名

【調査記録】
(1)グアム大学 看護学部(9:30〜11:15)
 1)Dr. Maria I. Salomonグアム大学看護学部長のプレゼンテーション(配布資料)
   スライド1 
    Hafa Adaiとはチャモロ語で「こんにちは」の意味。
   スライド2 
    地図でグアム大学の位置を説明。
    人口は175,877人。土地は209平方マイルズ(縦30マイル、横4〜9マイル)。
    グアムは、南にココスアイランドというとても小さな無人島が一つあるだけ。
   スライド3
    ラテストーンは、昔、家の土台として、その上に家を建てていた。
    主要言語は、英語38%、チャモロ語22%、フィリピン22%。
    人口の年齢の中央値は29.2歳。
    出生率は、人口1000人に対し18.37人。
   スライド4
    人種は、チャモロが37%、フィリピン人26.3%、他太平洋諸島(マイクロ
    ネシア、パラオ、マーシャル諸 島、ハワイなど)11.3%、白人6.9%(軍
    人が主)、アジア人6.3%(日本人など)。
   スライド5
    乳児死亡率は12.3
    平均寿命は、男性75.8歳、女性82.2歳。
    結核*は、49
    がん死亡率*は、13.9
    糖尿病*は4.7
    喫煙は31.7%
    自殺*は4.2      *:per 100K
   スライド6
    死亡原因についてU.S.A全体とグアムとの比較では、グアムは心疾患、ガン、
    脳血管障害、糖尿病、自殺、自動車事故(MVA:motor vehicle accident)
    などがある。
   スライド7
    RN: Registered Nurse(正看護師)は、175千人の人口に対し600人いるが、
    450人しか島にいない。Militaryや他のところに行ってしまっている。欠員が
    50+(年間25 ̄50%の割合)である。アメリカ領域なので、看護師は免許を
    とっても最初はグアムで働いて、そして本国に戻ってしまう。ナースプラク
    ティショナーも欠員が4である。助産師もいるが、グアムでは助産師養成プロ
    グラムはない。LPN:Licensed Practical Nurse(准看護師)は160人いるが、
    その内80人が働いる。この中から正看護師になる者もいる。LPNは1年の教育
    なので準学士の学位はない。本国アメリカには準学士の学位をもらうコースが
    また別にあり(AND)、彼らは学士の学生と同じ試験を受ける。CNA:
    Certified Nursing Assistantが83名働いている。資格のある者はもっといる
    が働いているのは83名。彼らは6ヶ月間のコースで、バイタルサインの測定法
    や患者の移動などを学ぶ。
   スライド8
    病院など看護師がどんどん不足していくので、看護師をどのようにつなぎとめ
    るかの戦略として、3,4年前に給料が急激に上がった。グアムで働く看護師を
    保持するためにグアム政府の看護師の給料を39%あげた。残念ながら、看護教
    員の給料は上がっていない。
    政府からの助成金で看護師トレーニングプログラムも提供している。看護学生
    は3年次と4年次でこのトレーニングプログラムを受講し、卒業してから10か月
    間働いて返金するものである。
    プライベートの助成金もあり、学生への奨学金やローン、FDとして修士
    課程や博士課程などの学費貸与、またCE: Continuing Education(継続
    教育)、学会、資格への報奨金もある。
   スライド9
    グアム大学の写真
   スライド10
    体育館や海洋研究所
   スライド11
    新しいくできた建物
   スライド12
    教育学部で、新しく建てられた。
   スライド13
    R. F. Kennedy図書館
   スライド14
    看護学部
   スライド15
    グアム大学は、1952年に2年課程の教員養成から始まった。1968年にグアム
    大学と改名し、1976年に独立法人になり、9名の理事がいる。
   スライド16
    グアム大学は2つのCollegeと3つのSchoolの5つからなる。
   スライド17
    2007〜2008年のグアム大学全体の入学生の内訳は、アジア系あるいは太平
    洋諸島からの学生が90%を占め、その中で女子学生の方が男子学生よりも
    多い。総学生数は3282人で女子学生が6割である。
   スライド18
    人種別でみた入学生の内訳である。人種別ではフィリピン人が多く、次い
    でチャモロ人が多い。CNMI: Commonwealth Northern Mariana Island
    (北マリアナ連邦)
   スライド19
    2007年の卒業生は、準学士(看護)1名、学士34名、修士13名で、修士は
    教育やビジネス、自然科学で、看護学部はまだ修士課程がない。
    看護学部の卒業生は、2007年が準学士5名、学士25名で、2008年が準学
    士6名、学士36名である。以前は15,16名くらいしか卒業しなかったので、
    少しずつ増えてきている。
   スライド20
    BSNとAND、LPN、CANがある。入学試験はないが、入学基準は設けている。
    たとえばGPAなど。
    USAPI: United States of American Pacific Island
    APNLC: American Pacific Nurse Leader’s Councilは毎年、違う場所で総会を開
    いている。昨年はグアムで、今年はサイパンである。今年は6月の予定な
    ので、OPCNにもぜひ招待状を送る。
  スライド21
   1999〜2008年の看護学部の入学生の推移である。PrenursingのほうがNursingより
   多いのがわかる。その理由の一つは教員の数が足りないので、定数を増やせない
   ことがある。学生はPrenursingを終えるとNursingに進むことができる。
   Prenursingを終わった学生には、なるべくNursingに進むように勧めている。
   グアムで働く看護師を増やすためにNursingの学生を一人でも多く卒業させる
   ための努力をしている。(卒業できない理由は何ですかの質問に)3年次へ進
   む学生が非常に少ない。平均10%縮小している。専門の難しい科目の単位を
   とれないために退学している。
  スライド22
   軍関係の方が大学に入ってくることが増えてきている。
   看護学部への入学は年1回で春学期である。卒業は、春学期と秋学期。通常、
   学士課程は2年間(その前に2年間の教育課程を終えている)であるが、
   ここは英語が第2外国語の学生が多く、英語クラスを受講するため半期余計に
   必要で2年半かかる場合が多い。
  スライド23
   カリキュラムは10のコアとなる理念からなる。この理念に従い学生を評価
   する。学生にはシラバスなどで理念や評価について示している。ニューマン
   概念枠組みを使っている。ニューマンモデルは患者をホリスティックにとらえ
   ているところがよいと考えている。
  スライド24
   BSN(学士)の教育は4年間で、グアムの国家試験資格が得られ、NLN(全米
   看護連盟)から認定されている。各レベルがあり、例えばBSNのレベルに到達
   していない学生にはLPNを進めている。そうすれば、たとえBSNはとれなくて
   も少なくともLPNとして働くことができる。グアムにはグアムコミュニティカ
   レッジもある。グアム、サイパン、パラオ、マイクロネシア、マーシャル諸島、
   の5つのコミュニティカレッジがある。
  スライド25
   必須科目
  スライド26
   専門コース。Independent studyは学生が自ら実習場所を選択し、現場のナース
   について看護実習する。教員がプリセプターと施設を選び、その中から学生が
   選択する。幅広く実習ができる。プリセプターが夜勤であれば、学生も夜勤を
   する。400レベルのIndependentは、3単位なので135時間(1単位3時間×15回
   の45時間)。1時間半×15週間はセミナー。毎週教員とあい、残りの時間は
   臨床。リーダーシップは、3単位。2単位は必須で、1単位は臨床。
  スライド27
   看護学部のアドミッション基準は2.7以上(最高4.0)。グアム大学自体は2.0
   以上が基準。教育学部は3.0以上。科目は、3回までは再履修できる。200、300、
   400レベルに行く前に必要な時はTransition courseを導入し復習の機会を与えて
   いる。
   またメンタリングプログラムもある。プリセプターに似ているが、メンタリング
   プログラムにはお金を払っている。学生は、登録すると、我々は病院やクリ
   ニックの看護師を探し、学生と看護師の登録を行う。8時間(80時間?)につき
   200ドル。メンターの基準は臨床で働いていることで、臨床経験が4年あること。
   チュータリングプログラムやアドバイスなどもある。他の学校で看護を勉強した
   学生の場合、勉強した科目は、NLNチャレンジ試験を受験し、50%クリアしたら
   単位を認定している。
  スライド28
   10年前は15人の看護教員がいたが、現在は6名しかいない。ほとんどの教員は
   軍で働いている人の配偶者だったので地元に戻ってしまった。私たちもリク
   ルートされてきている。高齢化も進んでいる。他のところから人を呼ぶことも
   考えるが、給料が低いとか、資質的な問題、文化的多様性や文化的問題もある。
   また、Adjuncts(助手)なども起用するが、問題は助手は臨床だけを教えて
   いるので、彼らが理論の教え方を知っているか確認するようにしている。
   助手で修士をもっていない人には修士を取得するように、修士を持っている人
   にはPhDを取得するように勧めている。大学院はオンラインで受講できる。
   たとえばハワイ大学やVillanova University、フェニックス大学、ミネソタ
   のウォーダンUniversityなど。
  スライド29
   性別にみた卒業生の内訳は男子学生より女子学生が多い。
  スライド30
   国家試験の合格率。不合格の者でLPN として働いている者もいる。
  スライド31
   卒業生の就職状況。半数がグアム記念病院に就職している。Otherというのは
   在宅ケアとかクリニックとかパブリックヘルスクリニックとか透析クリ
   ニックとか。35の学校にスクールナースが各1名。2,3か所を掛け持ち
   して働いている人もいる。
   最初、グアムで働いていても、しばらくすると結婚などで他の移動する人
   が多い。
  スライド32
   卒業後の進学について
  スライド33
   学園祭での風景。
  スライド34
   血糖値の測定風景。保健所と組んで、シッピングセンターなどで行っている。
   実習の一貫。3年次ではスクリーニングの実習があるので、血糖値などの測定も
   含まれる。4年次には予防接種、ツベルクリン判定などの実施をしている。
  スライド35
   グアム看護協会にも積極的に協力して活動している。
  スライド36
   2006年の卒業生は、半数が男子で、卒業後は病院で働いている。女子学生は
   掛けもちして働いている人もいる。
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   助手。3名はグアム大学の卒業生。
  スライド39
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  スライド41   写真
  スライド42

2)グアム大学看護学部の施設案内
  ・演習室、講義室、コンピューター室に案内していただいた。
  ・個室の演習室には、SimMan(患者シミュレーション人形)がある。壁には、
   ラテストーンのカリキュラム図がかけられている。
  ・大部屋の演習室には、ベッドが6床あり、看護技術を練習するための成人
   人形が3体ある。
  ・コンピューター室には、旧式のパソコンと新型のパソコンがそれぞれ約
   10台ずつある。

(2)Dr. Helen J.D. Whippy (Senior Vice President)の表敬訪問(11:30〜12:00)
  ・宮古島に行ったことがある。宮古島で2005年に開催された世界島嶼会議に
   講師として参加した。(琉球新報の記事が壁に貼られてある。)
  ・こちらで行っている主な研究の一つは、ガン研究がある。Tobacco Cessation
   outreach (禁煙活動)、Cancer Products、Research in Natural products,
   chemistry, chewing tobaccoなどがどのようにガンに影響しているのかを研究
   している。太平洋地域だけ。
  ・Dr. Whippyの専門は数学である。

(3)Central Public Health & Social Services 訪問(12:00〜12:30)
  ・ここはクリニックで、結核(TB)や性感染症(STD)、Women’s Health、
   Child Health、予防接種、聴覚検査、歯科検査などを行っている。他に訪問
   看護も行っている。
  ・結核対策としてDOT: Directly Observed Therapy(「対面服薬療法」「直接
   服薬確認療法」といわれている)も行っている。DOTはクリニックで行う場合も
   いれば、クリニック外でおこなう場合もある。
  ・ナースプラクティショナーがおり、女性や子どものケアを行っている。
  ・3名のナースプラクティショナーがおり、1名はFamily Nurse Practitionerで
   2名がWomen’s Health Nurse Practitionerである。
  ・産科医もいるが、深刻なケースを主にみている。
  ・結核クリニックをみている医師(Dr. Mathew)がいる。患者は島外からの方が
   多い。家族間での感染というより、未婚で島外からくる患者が多い。エフェセン
   島、チューク島、マーシャル諸島、フィリピンなどの出身地で感染したままグア
   ムに出稼ぎにくる。最近は、そのような島のコーディネーターが、現地で患者
   さんをみつけ指導したり、予防活動を行ったりしているので、こちらから行く
   ことはない。こちらではレントゲンなどで結核がみつかれば、6ヶ月間治療を
   行う。その時の医療費は米国政府が補助するが、薬物治療は地方(ローカル)
   が補助する。レントゲンがクリアになれば治療は終わる。もし患者がクリニック
   に現れなければ、看護師が自宅を訪問する。
  ・(壁の写真を見ながら)以前は9名のRNがいたが現在は6名である。他にLPN
   もいる。
  ・Shriner’s基金により、小児のために2クリニック(2部屋)ある。
  ・Dentalクリニック。18歳以下の子どもと65歳以上のお年寄りだけをみている。
   ただ、現在は歯科医がいないので閉鎖している。しかし、一旦、患者をみら
   れることになると部屋が満杯になる。フッ素塗布も行っているので、少しは
   子どもの虫歯予防になっていると思う。基本的に、こちらは歯科医が獲得した
   助成金により賄われている。歯ブラシの仕方も指導している。保育所でも行って
   いる。データ的には効果はあると思う。家庭によっては、きれいな水がない
   ところがあるので、そういう家庭は難しい。看護学生と一緒にクリニック外に
   でていくこともある。
  ・唯一のラボ。グアム・太平洋地域のラボということになっているが、実際は
   そこまで機能していない。インフルエンザが流行したらこちらが中心機関と
   なる。バイオハザードや不明な検体があればこちらに送られてくる。バイオ
   テロリズムなどもここに送られてくる。4名の検査技師がいる。検体は主に
   検尿、検便、子宮頸ガン検査など。なるべくここで検査できるものはここで
   やって外注に出ださないようにしている。HIVの検査も無料で行っている。
   他にもラボはあるが、ここが中央ということ。
  ・Food Stamp 食べ物と保険関係は米国政府から福祉援助を受けることになった。
   また所得により衣類なども支給している。社会的なニーズについてはここで
   取り扱い、ハウジング関係は他の場所で扱っている。手当は、食事代として
   子ども一人につき300ドル支給している。粉ミルクも支給している。それらは
   所得に応じて支給される。20〜30%の方が援助を受けている。島外出身の方も
   多い。こちらに移住してくることに関しては自由。子どもがこちらで生まれた
   場合は米国籍になるので援助の対象となる。その場合は、もちろん子ども
   だけで、母親は対象とならない。看護学生には、援助対象となるものの基準
   を教えている。そうすれば彼らが地域でそういった対象をみつけた時に、こち
   らにつれてくる。看護学生と一緒に地域に出た時に、パブリックヘルスという
   ものがどういうものかを教えている。学生には卒業してすぐ役立つように、学
   生の時から地域がどのようなものか知り、準備をしておいた方がいいと思って
   いる。看護学生は4年次に2ヶ月間くる。
  ・環境衛生部(Environmental Health)。レストランやデイケアなどの衛生検査を
   して、合格基準を認定している。レストランで、AとかBとかCとか書いてあるの
   がそれである。サービスを提供する者はHealth Certificateが必要だが、それ
   もこちらで発行している。
  ・健康教育のパンフレット。たばこ、糖尿病、インフルエンザ、ガンなど。子宮頸
   ガン、たばこ、糖尿病などについてナショナルグランドをもらっている。
   このような助成金は、看護師やソーシャルワーカなどでも助成申請をする。
  ・Office of Vital Statistics。ここのクリニックは無保険で、支払いがない。ヘルス
   に関して必要な患者データをこちらで集積している。

    TB/X-Ray → Dental Clinic → Lab → Outpatient (Public Health area)
    →Environmental Health → Office of Vital Statistics

(4)U.S. Naval Hospital, Guam訪問(14:00〜16:00)
   1)Dr. Cynthia J. Gantt (Senior Nurse Executive) のプレゼンテーション
     (配布資料) (14:00〜15:15)
  スライド1 
  スライド2 
   地図でグアム海軍病院など地理的な位置関係を説明。
   沖縄やハワイに患者を搬送することもある。
  スライド3
   グアム海軍病院の歴史について説明。
   このグアム海軍病院は、女性や子どものケアを行うようになった最初の海軍病院
   である。それまでは海軍病院では、兵士へのケアが主だった。
   2014年頃に新しい建物ができる予定である。
  スライド4
  スライド5
   施設の概要
  スライド6
   通院と入院に関する統計。
   出産は年に約450例くらいだが、ちなみにグアム記念病院では一か月でこのくらい
   の出産数がある。
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  スライド9
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   Frank Cable AS-40(潜水艦母艦)。救急の時に対応する。
   この写真は、ある船の蒸気部が爆発し火事になった時にFrank Cableで救助に
   あたった時のもの。とても厳しい状況だった。けが人を収容しなければならな
   かった。こちらには熱傷病棟がないので、誰かがこなければ熱傷病棟はない。
   こちらは外傷専門センターではないので、患者が立ち去る(leave)まで救急で
   対応していた。24〜48時間くらい回復するまでここで面倒をみることができる。
  スライド12
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   ホスピスケアも行っている。
   NICUはないが、必要時は沖縄から専門家チームが来てくれる。出産後、子ども
   の状態が悪ければ沖縄のNICUに搬送することもある。
   糖尿病や乳がんのスクリーニング、肥満など、地域住民のヘルスケアも行って
   いる。
   沖縄のように、肥満の方はあまりいませんが(冗談?)。
  スライド14
   ほとんど軍看護師ですが、そうではない看護師もいる。
   新卒者もいる。内科・外科病棟では50%が新卒者である。
   ここの病院は救急を除いて、24時間医師が常時いるわけではないので、看護師は
   とても自律して働かなければならない。
  スライド15
   軍看護師は、すくなくとも学士をもっていなければならない。
  スライド16
  スライド17
   (参考文献を配布)
  スライド18
   軍看護師の保持するよう努力している。
   メンターシップやリーダーシップについても取り組む。
   新しい、領域別のクリニカル・コンピテンシーがある。どこで働こうとも、
   すべての看護師はこれを知っておかなければならない。
  スライド19
   ECONS: Executive Committee of Nursing Staff
  スライド20
   オンラインリファレンス
  スライド21
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  スライド26
  
  ・地域の住民を診ることもある。日本人旅行者も診る。2つの病院しかないので、
   軍関係者だけをみるということはない。
  ・糖尿病や高血圧の患者が多く、デング熱、結核も人もいる。
  ・文化的なこと、医療への価値観の違いなど考えないといけない。
  ・地元のおまじないをやりたいという人もいる。
  ・死期が近い方の家族が歌や食事で看取ることもあった。

 2)U.S. Naval Hospitalの施設見学(15:15〜16:00)
  ・テレメディスン モニターで他の軍病院とつながっている。
  ・Labor&Delivery病棟 今は分娩室と産褥室が別になっているが、新しい建物
   ではLDRをいれたい。帝王切開をするためのオペ室が病棟内にある。月35件
   くらいお産がある。通常は、L&D、産褥室、NICUは別々にあるが、ここは3つが
   一緒になっている。ほとんどが正常分娩。もし異常がある場合、24〜48時間
   以内で沖縄に搬送する。助産師は1名いる。
  ・救急室 子どもへの薬物投与量をみるためのスケールがある。子どもの体格
   別に色分けがされている。救急の場合は、子どもの体重や身長をはかっている
   時間などがないため、また、付き添いの方も子どもの最近の体重を知らない
   場合も多いので、このようなスケールが役にたつ。
  ・待合室とトリアージ室

(5)Guam Memorial Hospital (GMH) 訪問(16:30〜17:00)(配布資料)
  ・リハビリテーション室 言語療法や理学療法。ここは糖尿病患者が非常に多く、
   そのような糖尿病患者は心臓の問題や高血圧、腎臓病などを抱えているので、
   こちらでcardiac therapyを受ける。他に、Certified hand Therapist がいる。
  ・長期入院のためのリハビリ施設と短期入院のための施設がある。
  ・2005年より、GMHでOpen Heart Surgeryを毎年行っている。カリフォルニアから
   専門医がきて、手術はGMHで行う。以前は1年に1回だったが、現在は1年に
   4回行われるようになった。心臓カテーテル検査や弁置換術も行う。1回につ
   いて8〜10件の手術が行われる。(道具はどうしているのかの質問に)1回目
   に来たときは、道具などを持ってきていたが、2回目からは我々はすでに道具
   を揃えた。また最初は専門医以外に麻酔科医や看護師も一緒につれてきて
   いた。彼らは我々のスタッフの訓練も行っている。
  ・Emergency Room 受付に来ると受診表に記入する。名前はブルーシートを
   かぶせるのでプライバシーを保持している。記入が終わるとトリアージナース
   の問診を受ける。そこでアレルギーや既往歴、それから車できたのか救急車
   できたのかなどコンピューターに情報が入力される。そのあと医師の診察で
   ある。2名の医師と12名の看護師がいる。もっと看護師が必要な場合は、看
   護師はオンコールで呼ばれる。
  ・X-Rayや64スライスCT、MRI、超音波検査、マンモグラフィーがあり、すべて
   の機器は最新のものを取り入れている。
  ・年間27,000人の方が病院を利用している。入院患者は年間11,000人。
  ・PCU:26床。ICUの患者が回復してきたらPCUに移される。Bed status「RED」
   というのは空床がないという意味。「GREEN」は空床があるということで、
   その中間が「YELLOW」。医師が「RED」のサインをみたら、退院できる
   患者は早めに退院させる。なぜなら救急からの患者が次々入ってくるから。
  ・スタッフのユニフォームは、毎日違う色のものを着ているが、病棟内では同じ
   色に統一されている。
  ・RRT: Rapid Response Team RRTの目的は、出血している患者や循環器の
   患者などのリスク者を探し、状態が重篤になる前にケアを行う。異なる病棟に
   配置されている。呼吸器チームと看護師チームが一緒になって、前もって誰が
   出血の危険があるか見極めてケアする。発症を防ぐ。約2か月前に始めたば
   かり。12人くらいのチームです。
  ・患者はペインコントロールに対する権利を持っている。フェイススケールは、
   いくつかの言語で訳されている。いろいろな国から来ている人が多いから。
   フェイススケールを使い、30〜60分ごとに看護師は観察している。
  ・2008 National Patient Safety Goals Hospitals
  ・Patient Survey Drop Box  (ご意見箱のようなもの)。多いときには月に400
   件ある。
  ・医療用品を売ったり、キャンディーや雑誌を売ったり、赤ちゃんの写真の販
   売や、通訳のサービス、ロビーでインフォメーションブースを設けたり、ギフ
   トショップなどで資金を増やしている。ギフトショップは毎月6,000ドルの売り
   上げがある。

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2. サイパン

期 間:2009年2月3日(火)
  訪問先:(1) Commonwealth Health Center
  Joseph Kevin Villagomez (Secretary of Public Health
  John T. Flores (Facility Maintenance & Support Administrator)
  Salome A. Castro (Director of Nursing)
  医師

【調査記録】
(1)Commonwealth Health Center (CHC) 訪問(9:00〜11:15)
  1)施設案内
   ・クリニックはいくつかあるが、入院施設をもつ病院はここだけである。
   ・Seventh Day Adventistもクリックで、しかもデンタルケアだけである。
   ・バイオテロリスト対策として、病棟毎にドアがあり、カギがかかっている。
   ・結核のケアをする病棟は、Chest Clinicと呼んでいる。その方が聞こ
    えがよいから。
    結核は国内では多いところで約70事例くらいといわれている。しかし、
    ここではもっといるので、結核にかかっていないということを調べる
    必要である。1年間で50例くらいいる。現在、チューク島ではDrug
    Resistanceが急激に発生しているためCHCは州政府から資金を
    活用しこちらで専門家を育てたり、さらに1か月に1回チューク島へ
    出かけ支援を行なっている。しかし、資金が少ないので難しい。現
    地にクリニックはあるが、猫やネズミがでるような施設である。現地
    には、看護師や医師はいる。
   ・透析患者は病院には現在100名以上いる。しかし、これは病院利用
    者の数で、クリニックや他の施設を利用している患者ももっといる。
    マイクロネシアの人々はこちらで透析治療が受けられる。ここには
    透析チームがある。看護師がとてもよく頑張っているので透析患者
    の感染症が低く、平均寿命も長い。ネフロロジストや看護師のとても
    いいチームである。しかし(新しい透析室が)あまり好きではない。本来
    は、ここの施設はパブリックヘルスと予防を行うだけでも十分だから。
   ・透析に関するナースプラクテョナーを探すのはとても難しい。
   ・精神科病棟(閉鎖)は急性期の精神科疾患をもつ18歳以上の患者が
    入院している。小児の精神科は、小児病棟でみている。なぜなら法
    律によって18歳未満の子どもを施錠される施設に収容してはいけな
    いことになっているから。パニック障害の患者さんなどもいる。これら
    の患者さんはADLの訓練をうけて退院する。ここから退院できない
    患者は、トランジッションリビングセンターに一旦移って、そこでADL
    の自立、セルフケアができるようになってから、地域にもどる。センター
    でも24時間看護を受けられる。現在はここには3〜4名の患者が入院
    していると思う。
   ・3つの看護学校がある。学生はインターンシップを受けにくる。ロイロラ
    UniversityはRNプログラム。フィリピンとの交換留学制度。マノアは
    LPNプログラム。
   ・産科では、1日約5例、月に約100例にお産がある。年間1400例。こちら
    では6名の助産師がいる。
   ・心臓手術などはハワイやフィリピンに搬送している。小児の場合は、名
    古屋市立病院に送っている。そのきっかけは偶然おきた。ある子ども
    がホノルルに搬送されたが、重体になり、名古屋市立病院がその子ど
    もを受け入れ手術を行った。それ以来、名古屋市立病院との関係がで
    きた。サイパンから名古屋に飛行機一便でいくことができる。また名古屋
    市長はサイパンで生まれた方である。それから名古屋市立病院のほと
    んどのスタッフが英語を話すことができる。
   ・放射線室は、レントゲン、マンモグラフィー、超音波検査などを行う。
   ・ERは、11時半から9時半まで開いている。トリアージが11時頃まで開いて
    いるので、そこが閉まったあとERが開く。主に外傷で運ばれてくる患者が
    多い。結核疑いの人もいる。マラリアは少ない。(マラリアは)タイから
    来た人などで稀である。サイパンではマラリアはない。
   ・Family Planning, Immunization, HIV
   ・訪問看護は、プライベートエージェンシー2か所で行っており、ここの施設
    では行っていない。ただ結核のDOTはホームケアを行っている。他に麻
    疹キャンペーンが開始したばかりである。地域に出て麻疹の予防接種を
    する。在宅看護は行っていない。

   Women’s Clinic(New Building) →  Adult Clinic outpatient → 
   Children’s Clinic →OB/GYN → TB(Chest Clinic) → Dialysis →
   Pediatric → Psychiatric Unit → Medical/Surgical → Labor →
   NICU → HIV Clinic

  2)会議
   ・ここではポリコムのテレビ会議システムをすでに使っている。通常、テレ
    メディスンに使う。(ポリコムの会議室は)全米で災害が起きた時には、
    サテライト(中央機関)となる。
   ・オアフ島やカウアイ島は、こちらよりも近代的で働きやすいと思う。サイ
    パンで働く看護師の仕事は難しいが、いろんな経験はできると思う。ここ
    は現実的なチャレンジ(課題)が多い。重症な患者がくる。(経済的にも)
    患者は症状がひどくなってからしか病院にこない。
   ・島の生活様式など、ここでは経験ができると思う。
   ・テレビ会議システムやCTスキャンなどアドバンスナーシングで学ぶ必要
    があると思うが、ローカルな視点をもつ看護師も必要。そういう意味では
    サイパンが適していると思う。なぜなら、太平洋諸島の文化をもち、島の
    大きさも大きすぎず、島のにおいも残っており、そしてテクノロジーも備
    わっているから。
   ・Mobile Health Clinic(移動式受診システム)
   ・グアムと違って、CHCがパブリックヘルス、病院、メンタルヘルスを統括
    している

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3. テニアン
  期 間:2009年2月4日(水)
  訪問先:Tinian Health Center
   Ernie U. Hofschneider (Resident Department Head)
   医師
    テリー Physician Assistant
   Antonio H. Borja (Chairman)
   Joseph T. San Nicolas (Executive Director)

【調査記録】
 (1)Tinian Health Center訪問(8:00〜9:00)
  ・ここには理学療法士いないし、栄養士もいない。看護師はいる。しかし、
   医師(スリランカ出身)も看護師(フィリピン出身)もほとんどが外国から
   きた方で地元出身がいない。ちょうど4名の地元出身者がサイパンのマ
   ニノ カレッジを卒業するので、こちらに戻ってきて働く予定である。テニ
   アンはとてもisolateしているので、学校にいくのは(教育をうけるのは)
   難しい。本国の学校に行って、戻ってくる。
  ・テニアンでは、ここの施設でしか診療していない。1985年に開設した。
   しかし、クリニック(診療)だけで、入院はできない。もし、重病人がでた
   らサイパンに搬送している。
  ・(患者の数の質問に)医師「日によるが、1日約30〜35人くらい診ている。」
   医師は、2週間前からヘルスセンターで働き始めたばかり。
  ・こちらにはPhysician Assistantがいて、彼女は患者の家を訪ねたりもし
   ていると思う。
  ・現在、10名くらい(less than 10 people)の終末期ケアの患者がいて、セ
   ンターまで来ることができなので訪問している。
  ・こちらでは出産はできない。サイパンに行ってお産している。(搬送する
   タイミングはの質問に)妊娠35週位だと思うが、初産婦の場合は、妊娠
   40週ぎりぎりまでみて(39週くらい)、経産婦の場合は早めに搬送してい
   ると思う。テニアンでは年に1,2例しかお産がない。費用は、政府がみて
   いる。無料ではなくて患者もいくらかは支払わなければならない。経済的
   に困難な場合はメディケイドをうける。
  ・テニアンでは、糖尿病が多い。結核は少ない。結核は、都市部で人口が
   密集して、bad conditionのところが多い。

  1)施設案内
  ・Public Health 子どもの予防注射。MMRやポリオなど。
  ・STD、DM、Breast Cancer、Cervix Cancer などを見ている。
  ・カルテ室 現在は紙媒体だが、もうすぐ電子化される予定。テニアン島の
   皆のカルテがここにある。保存期間は永久。一番古いものは約30年前の
   もの。
  ・Medical Referral 患者を(専門医などへ)照会する部屋。
  ・Triage Nurses バイタルサインを測定したり、medical historyを聴取したり
   する。medical assistantが行っていた。
  ・Pharmacy
  ・Dental 歯科医1名、歯科衛生士2名
  ・会計 患者は1週間に140人くらいだと思う。私(Physician Assistant)は、
   1日に20〜30人くらいみている。
  ・Lab Laboratory Technician(1名)。ヘモグロビンやHA1Cを調べる器械が
   ある。以前は、この検査室くらいの大きな器械だったが、最近は、とても
   小さくなった。赤血球やコレステロールなどを測る器械もほしいが、現在は
   最低レベルの設備なので、これからステップアップしていきたい。
  ・Physician Assistant Office コネチカットで訓練を受けて、修士でヘルス
   サイエンスを学んだ。こちらには13名の看護師がいる。6名がRNで、6名が
   LPNで、Nursing/ Medical Assistantが1名。Women’s Health Nurse
   Practitionerは1名。
  ・In Public Healthで訪問看護を行っている。
  ・Radiology レントゲンと超音波検査ができる。
  ・Emergency Room 感染症では敗血症の患者がいることもある。糖尿病性の
   潰瘍やgangling(やせ)が多い。他にはジャングルなどでの切り傷、スクー
   ターから転倒しての交通外傷など。自殺。溺水。
  ・Hospital Room 4床と3部屋ある。96時間まではこちらで短期入院できる。
   それ以上入院が必要な場合はサイパンに搬送する。

以上

 

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【 お問い合せ 】
沖縄県立看護大学 大学院
沖縄県那覇市与儀
    1丁目24番1号
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FAX:098(833)5133