島嶼看護

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資料9:1)台湾学術交流基盤調査報告

期 間:2009年3月9日〜10日(月)
参加者:野口、神里、當山、玉城、川崎、大川
訪問先:台北医学大学看護学部および看護研究科
     Lu-I Chang(張)   学部助理教授 国際交流窓口
     Yann-Fen C.Chao(邱) 学部長兼教授・付属病院看護部長
     Kuei -sRu Chou(周)  研究科長・教授
     Chiou-Feb Lin (林)  学部主任・教授
     Chin-Min Chen(陳)  学部教授・老人看護管理学系主任
     Shao-Huai Lee (李)  学部助理教授
     Wen-Ta Chiu(邱) 台北医学大学学長・Shuang Ho Hospital院長
     (学長室に表敬訪問を行なった)
    台北医学大学付属病院
     Chih-Hsiung Wu (呉) 院長・外科教授

    Shuang Ho Hospital
     Chiou-Fen Lin(林) 看護部長・台北医学大学准教授
     Shin-Han Tsai(蔡) 副院長

日程:
  3月9日(月)8:30〜12:00: 台北医学大学看護学部および看護研究科
        14:00〜16:00: 台北医学大学付属病院見学
  3月10日(火)9:00〜11:00: Shuangho Hospital

調査記録
I .台北医学大学看護学部および看護研究科
1.視察目的
台北医学大学、台北医学大学看護学部および看護研究科の教育、研究内容
についての把握し、本学大学院GPにおける大学院生演習及び実習地としての
条件を満たしているかを検討する事。

 2.視察概要
 1)歴史
  ・1960年  台北医学大学設立
    現在5学部・11学科、17大学院専攻
    運営病院:付属病院を含めて3病院、3000ベッド。
    台北でも高水準の教育、研究、医療の提供を行なっている
 ・1963年 5年制短期大学として看護専門教育が始まる
 ・1977年 看護学校設立
 ・1995年 大学院修士課程(看護管理、成人看護、コミュニティーケア看護)開設
      以後順次開設され、現在7領域となっている。
 ・1999年 RNであることが大学院入学資格となる
 ・2005年 麻酔看護師免許所持者に対する2年教育課程開始(編入)
 ・2006年 大学院看護博士課程開設
 ・2007年 高齢者ケアとマネジメント教育課程開始

 2)現在の教育・研究の状況
 ・看護学部:約400人、編入生:280人(2年課程)、大学院:100人
 ・教員数:33人
     教授  8人    助理教授  11人
    副教授  4人    講  師  10人
 ・教育の特徴
   演習内容をカメラで録画し振り返りを行なう(ベッドサイドケア)
   教員が作成した基礎看護技術のビデオを使用している。
   パソコンでシミュレーションして演習する(助産)
   オスキーによる教育を行なっている。
   実習病院は市内に8カ所と市街にも数カ所あり、実習先には保健所を含む
   テキサス(中国系の人が多い)の病院での学部学生が短期(1ヶ月)研修
 ・国試合格率:94%
 ・卒後生の動向:2552人が行政、大学、病院の役職についている
 ・高齢者ケアとマネジメント教育課程
   看護学部とは別組織である。高齢者とその家族をケアする。
   卒業要件は140単位。それに加えて看護学部の17単位を履修すれば看護
   学部学士がとれる、ダブルメイジャーである。
   現在台湾の高齢化率は12%、高齢化進行のため高齢者看護のニーズがある
   として2007年に設立された。
   2007年度に49人、2008年度に58人の高齢者看護の管理者を輩出した。
   現在のところ、高齢者ケアは看護師教育の中に入っておらず、ライセンス化
   されていない。
   台湾では、高齢者の長期ケアのためのケアセンターが整備されつつある事も
   あり、の課程は将来「老人健康管理学科」とする計画がある。
   これからリスクマネジメント、生活の視点とニーズの視点を強化していく。
 ・看護研究科
 ・教育方針:教育と研究の専門家を育てること
 ・専任教員7人、学部教員がサポートしているので教員数は39人。
 ・修士44人、博士9人が1学年定員。
 ・実習病院7。
 ・研究能力育成のために実験設備として運動生理実験室、バイオフィードバック
  実験室、健康促進実験室をもうけている。(実験室毎の研究論文が張り出され
   ていた。)
 ・実験室には、認知レベルの検査装置、歩行状態をチェックするマット、バイオ
  フィードバックの装置があった。
 ・カンファレンスルームのPCはWeb ネットワークに接続されており、Web会議
  が可能である。
 ・教員一人あたりの英文の研究論文は4.8で台湾でトップクラスである。
 ・多数の公的研究費を獲得して教育、研究を行なっている。
 ・大学院生のほとんどは、研究補助金でRAとしている。
 ・図書館
     
II.台北医学大学付属病院
1.視察目的
  台北医学大学付属病院の医療設備、診療内容についての把握し、本学大学院GP
 における大学院生演習及び実習地としての条件を満たしているかを検討する事。

2.視察概要
 ・看護部長による病院概要の講義後に見学を行なった。
 ・1976年開院、900床。
 ・1989年ISO-9002の認証、1990年はClass TTeaching Hospitalの認証を受けた。
  2008年にもISO認証を受けた 
 ・臨床教育の充実に力を入れており、次々と臨床技術センターを開設している。
 ・病棟数20、看護師数658人。その内4年生大学卒が46%、修士が3%。大学との
  兼務者もいる。
 ・看護部はクリニカルラダーを設定して院内教育を行なっている。
 ・ガン治療、内視鏡など10の特別部門をもち、台湾での先進医療を担っている。
 ・産後看護の家、美容医療、減量、不妊症治療など充実している。
 ・薬処方のコンピューター化が進んでいる。化学療法をPC管理で行なっている
  (e-chemotherapy)。
 ・訪問看護を行なっている対象者は100から200人。胃瘻などの管が入っている人と
  リハビリ対象者に対して医療保健で認められている。

III.Shuangho Hospital
1.視察目的:台北医学大学関連病院における離島救急体制(ヘリ搬送体制)の視察
2.視察概要
 ・台北市から南西方向の台北県内。都市部。
 ・2008年7月開院。10月に教育病院としての認定を受け、11月からヘリによる
   救急体制をとっている。
 ・医療圏人口:20〜30万人。受診者が増加している。
 ・12月には満床になり、現在の稼働率は80%。他の病院が休んでしまう正月にも
  オープンして地域に貢献している。ICUも16床で開院したが、現在は37床。近い
  将来45床にする予定。他の病院への搬送患者も32人から10人に減少し、搬送せ
  ずにこの病院で救急、急性期治療が行える体制が整ってきた。
 ・医療職以外の職員も緊急、災害時の救急処置ができるように、全職員対象に訓練
  を行なっている。 
 ・救急体制:ビデオ視聴、副院長による説明後、救急室およびヘリポートを見学
    国内離島のうち19島を管轄している。
    ヘリ管理センター(National Aeromedical Approval Center)があり、ポリ
    コムのテレビ会議システムを使ってヘリ出動を管理している。
    事故や海難者の救出に当たっている。大規模な災害の場合は医療者が現場に
    病院のない離島では、看護師が一人配置され、テレケア、テレメディスンが
    実施されている。

 

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