島嶼看護

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9.実習所感

海外実習所感

学生氏名:宮平みのり

 人生初の海外に大学院の実習で行くことになるとは、思いもしませんでした。
 グアム・サイパン・テニアンという沖縄県とあまり変わらない気候、サイパンは宮古島
とほぼ同じ人口、サイパンの離島のテニアンは、宮古島の離島の伊良部島とほぼ同じ人口
という海外での実習ということで、地域住民の生活状況や健康問題などを比較しやすいこ
とや、同じ島嶼ということで問題点は一緒ではないかという予測をし、初めての海外とい
うこともあり、不安と期待で実習に臨みました。
 私の海外実習の目標としては、整形外科病棟で勤務してきた中で、高齢者が自宅・他病
院・老健施設に退院、転院しても再骨折で入院する患者は少なくはなく、退院後の地域で
の継続看護が不十分ではないかと思われたため、同じ島嶼地域ということでどのような課
題があるのか、またその対策はどのようにしているのかを比較し学ぶことでした。
グアムでは、グアム大学で看護教育プログラムや実習などの取り組みに学ぶことができ、
また、グアムでの健康問題なども把握することができました。
 また、グアム・メモリアル・ホスピタルでは、リハビリが必要な患者は施設へ転院し、
そこから自宅退院していくということでした。退院するまでの流れとしては、宮古島とあ
まり変わらないシステムでしたが、グアムでは高齢者が少なく、老健施設が限られている
という事で、高齢者の方もほとんどが自宅退院にならざるをえないという現状を知ること
ができました。
 サイパンのコモン・ウェルス・ヘルスセンターでも、サイパンには高齢者が少なく、平
均寿命は50~60歳だということを聞き衝撃的でした。理由としては食生活などで、糖尿病
や高血圧などの生活習慣病が多く、悪化するまで病院を受診しないため、若い年齢層で倒
れる患者が多いということを聞き驚きました。
テニアンでは55歳以上が高齢者という位置づけにあり、デイサービスでは56歳の方が
いた事に驚きました。ほぼ同じ気候や人口、島の大きさは違っていても同じ島嶼という環
境でも、文化や住民の生活背景などが違えば、その島嶼地区の健康問題も違ってくるとい
うことは認識していましたが、この実習を通して宮古島と比較することでさらに実感しま
した。沖縄県も食生活などで生活習慣病を持つ患者は増加傾向にあり平均寿命も下がりつ
つある中で、このままだと、沖縄県もサイパンと同じ現状になるのではと感じ、改めて食
生活の大事さを痛感しました。
 サイパン・テニアンは高齢者が少ないということで、高齢者の整形外科的疾患患者は少
なく、手術ということになるとグアムやフィリピンに患者を搬送しなければならないとい
うこと、退院後は老健施設がないため自宅になるということを知りました。サイパンのコ
モン・ウェルス・ヘルスセンターの理学療法士に話を聞くことができましたが、手術後転
院してくる患者は少なく、リハビリが継続して必要な患者はコモン・ウェルス・ヘルスセ
ンターではなく、地域の訪問看護事業所でリハビリを行っているということでした。コモ
ン・ウェルス・ヘルスセンターのリハビリ室では、脳血管疾患・整形外科的疾患患のリハ
ビリ訓練の指導も行っているということですが、蜂窩織炎・褥創の患者が多く、マニュア
ルに沿って蜂窩織炎・褥創の処置を行っているとの事で、実際、コモン・ウェルス・ヘル
スセンターのリハビリ室にはリハビリ訓練用の器具もありましたが、蜂窩織炎・褥創ケア
の洗浄器具などもあり、病院内での理学療法士としての役割のほとんどがそのようなケア・処置を行うことだということに驚きました。アメリカ合衆国の理学療法士の教育で
は、蜂窩織炎・褥創ケアがあり、理学療法士がその処置をするのだということに驚くと同
時に、国によって教育内容・役割の違いを学ぶ事が出来ました。
 このような海外実習という貴重な経験をさせてもらい、考えさせられとても勉強になりました。基本的な看護をベースに、その地域や文化に根差した看護問題を把握し看護を提供しなければならないということを再認識するとともに、文化の違う国や地域で実習することで、視野が広がったと思います。
 今回の実習のため、英語のできない私たちに引率・通訳をしていただいた先生方や実習先の皆様には大変お世話になり、とても感謝しています。

 

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